第三十三話 失われた絆
第三十三話 失われた絆
ある国に、ふたごの王女がいました。
ルリが姉、リリが妹です。
顔立ちも、身長もうりふたつの二人は、いつも仲良く暮らしていました。
リリは、人間の住む地球が大好きでした。
魔法を使わなくても生きていける人間は、リリにとってあこがれの存在でした。
ルリとリリの12才のたん生日、その日はきれいな満月の夜でした。
満月の光は城にふりそそいでいました。
二人が満月を見に、まどをあけると、二人のところだけ光がスポットライトをあてたようにふりそそぎました。
「まぁ!!」
母親の王ひ様がさけびました。王ひ様は言いました。
「この光は、伝説の勇者、選ばれし守り石の使い手が12才になったとき、ふりそそぐ満月の光!この光は何十年に一度、何百年、何千年に一度しか現れないの。再び、その時が来たのね。あぁ、なぜ、この子達が守り石の使い手なんかに…。」
ルリとリリは次の日、それぞれ宝石をもらいました。ルリはアメジスト、リリはラピスラズリです。
二人は何の意味でもらったのかを知らず、それをペンダントにして、大事にしていました。
ある日の朝、ルリがベッドから起き上がると、そこには見慣れない部屋がありました。
そこは、王家の別そうでした。
しかし母親の王ひ様も、父親の王様もいなく、ドアは外側からのカギしかなかったので、二人はそこから出られませんでした。
そして二人だけの生活が続きました。
ある日、二人はそろって言いました。
「ねぇ、今度、二人で旅行に行こうよ!」
二人は同じことを考えていたのです。
さっそく、二人は旅行に出かけました。
別荘での暮らしに慣れた二人は、電話のような通信機で家来と話すことができたので、家を出してもらえたのでした。
旅行から帰ってくると、二人とも着けていた、先祖代々受けつがれてきたダイヤモンドのペンダントがありません。
ルリは思い出しました。
「そういえば、あの時の男、ちょっとあやしかったような…。」
そうです、ペンダントはとうなんでぬすまれてしまいました。二人はびっくりしました。
「ちょっと、ルリ、あんたがペンダントを見えるようにつけるからよ!」
「なによリリ、あんたがペンダントの話をしていたからでしょう!」
「それなら、旅行に行かなければよかったのよ!なんで旅行に行こうって言い出したの?」
「あらリリ、先に言い出したのはそっちでしょう!」
二人は、ペンダントをぬすまれたのは相手のせいだと責め合うようになりました。
けんかもひどくなっていき、しまいにはリリが家を出て、地球に住むようになりました。
続く…。




