第三十話 ラピスラズリの秘密
第三十話 ラピスラズリの秘密
私はヒヤリとつめたいドアノブに手をかけた。そしてそろそろと室内に入って行った。
ここは校長室である。この前、私が学校たんけんで迷ってしまったことについて話があると校長に呼び出されたのである。校長はひじかけ付きのごうかないすに座っていた。いかにもおえらい金持ちの女社長です、という感じの空気になっている。話とは何だろう。うぅ、きん張するぅ…。
「あなたは、この前、周り一面青の場所へ行きましたね。」
校長は少しきびしい口調で言った。
「はい、ごぞんじでした?」
「えぇ。それで、ここにもどった時にあったラピスラズリ。持っていますよね?いいえ、
必ず持っているはずです!!」
私はあせった。実はあの時、ラピスラズリが転がっていたのは覚えているのだが、それをポケットに入れた記憶など全くない。私は絶対あるはずないだろうと思いながらポケットに手をつっこんだ。
おく深くまでガサゴソさがしていると、とつぜん、ひやりと冷たく固いものに手があたった。そっと取り出してみると、それは青く金の粉をふりかけたような石、ラピスラズリだった。私は目をまるくした。
「ほら、やっぱり。一回出会ってしまったもの。しっかりついてきているわね。」
校長は勝ちほこったような表情で言った。
「あなたは前の学校のテストで100点だったのでしょう?それなら分かるはず。ラピスラズリのことの話よ。昔話とか、おとぎ話のような感覚で聞くとわかりやすいかしら? とにかく、よーく聞いていてちょうだい。では、始めるわよ。」
校長は窓から見える星空をちょっとながめてから、こんな話を始めた。
大昔、まだ魔法星があまり栄えていなかった時代のことです。
あるところに、ルリとリリというふたごの王女がいました。ルリとリリは顔だちも身長もうりふたつでした。二人がちがうのは髪の色と性格です。
ルリの髪は栗色で、性格はおとなしめなしっかりものです。リリは髪の色が金で性格は元気いっぱいのおもしろい子でした。二人はいつも仲良くくらしていました。
しかし、とつ然、ある事件が起きたのです。ルリとリリだけで旅行をしたとき、とうなんのひ害にあって、先祖代々受けつがれてきたペンダントをぬすまれてしまったのです。
二人は旅行に行こうと提案した相手が悪いと言い合い、ケンカになりました。それからリリの方がちがう国の王家に行き、おたがい、むしをし合うようになりました。
ルリとリリというふたごの王女は守り石の使い手でした。ルリはアメジスト、リリはラピスラズリをもっていました。しかし、この守り石の使い手二人が事件を起こしてケンカしてはなれたから、人はアメジストとラピスラズリといえば、”仲が悪い”とか、”犬猿の仲”というようになりました。
「おわり。さぁ、どうだったかしら?今のあなたたちにそっくりじゃないの。ほら、きらい合ってむしし合って、はなれてゆく。もしかしたら、大昔の生まれ変わりかもしれないわね…。」
私にはわけが分からなかった。
「んん??あなたたち?そっくり?きらい?むし?はなれる?生まれ変わりぃ??」
「そうかぁ…。まだ知らないのね。あなたたちがどんな関係かを。どういう生い立ちかを。まぁ、いいわ。そのうち分かることですものね…。」
校長はためいきをつきながら言った。
閉ざされた過去へのとびらが、少しずつ開いてゆく…。
続く…。




