第三話 初めての魔法★ほうきにチャレンジ
第三話 初めての魔法★ほうきにチャレンジ
私の通う魔法学校は、1日八時間の授業だった。
この魔法学校では、みんな違う制服を着るという校則があった。一人一人の生徒にサイズ、デザインがあった制服を、学校は作っていた。しかし、このクラスの十人はまだ透明になることができず、魔女だということがバレないよう、念のため私服で来ていた。
「ねえねえ、新しい制服を着るの、楽しみだね!」
「杖も早く欲しいな~。」
十人は、新しい魔女の服や杖はまだか、これからどんな魔法を習うんだと、いろいろなことに期待をしながら過ごしていた。
その期待の反面、十人は魔法には便利な面だけでなく、気をつけなければ恐ろしく大変な事態になるのを知った。そのうち慣れてしまうものだが、最初は誰でも魔法に恐怖心や不安を抱くのは当たり前なのだった。
「みなさん、1時間目の授業を始めますよ。席についてください。」
ドアをガラガラッと開けて、夜空先生が入ってきた。
私は初めての授業にドキドキしながら席にすわった。
「今日はほうきに乗る練習をしたいと思います。乗れるようになるには練習が必要ですが、コツさえつかめばすぐに上手くなりますよ。」
先生はお手本を見せてくれた。まず、ほうきにまたがる。そして体が軽くなったようにふわっとジャンプするのだ。
すると、自然にほうきがういてくるらしい。先生は教室の天井ぐらいの高さまで上がってからシュタッとおりてきた。移動は体重を左右へかけることでできるらしい。
「さぁ、やってみましょう。」
みんなは先生のまねをして練習をした。しかし、30分たっても、ほうきに乗れるようになった人はいなかった。
1番早く乗れたのは、空野 葵≪そらの あおい≫ちゃんだった。葵ちゃんは冷静なタイプでやさしい子だ。みんながわいわい騒いでいても、教室の隅で一人、ひっそりと練習していたのだ。
私がほうきにのれたのは、10人中、3番目で早いほうだった。
「夜空先生、ほうきに乗れました!」
「まぁ、がんばったわね!ほうきで空を飛ぶのは楽しいでしょう?」
「はい!とっても楽しいです!」
わたしは元気にそう答えた。
夏の空にかがやく星が、きらきらとまたたいていた。
続く…。




