第二十九話 穴の中には青世界
この話から、スポットライトをあてるのがライナからレイナに変わります。
つまり、レイナの生活を2~3話【?】ぐらい投稿しますので、注意してお読みください。
作者 あら あらさんより
第二十九話 穴の中には青世界
私は、月野 玲菜。今はもう新しい仲間に慣れてきたところだ。
しかし、私は自分以外の人など信用しない。学校にいるときは嫌われないように、勉強のできる、いい女の子を演じているのだが。
今日は、転校生の私のために、わざわざ学校案内をしてもらうらしい。自分のためかもしれな
いけど、なんかめんどくさいなぁ…。
この学校は相当広い。
迷子になると大変だ…と言っているのだが、実は迷子になってしまった。
うぅ…かなりやばい。
魔法をかけようとしても、むだ、むだ、むだぁぁぁぁぁぁ!!!
授業で使うもの以外の魔法は全てかからないようになっている。
でも、だからって人はいないか見回してみても、視界に入ってくるのはかべだけ。まったく、かべ以外のものなどないくらいだった。
「はぁ…。」
私はあきらめて座り込んだ。
ふと、前にあったかべを見ると、そこにはちょうど人が入れるくらいの"穴”があった。
「これに入れば、みんなのいる場所に行けるかも…。」
私はつぶやいた。
さっそく私は穴の中に入った。
「ここはどこ…?」
気がつくと、私は不思議な所にいた。
色からすると海…のようだ。しかし、海には必ずいる魚が一匹もいないし、息もできる。
それに、スタスタと歩くことができるのだ、ふつうに。
まったく、謎だらけの青世界である。
ここは、すき通った青の中のところどころがキラキラしていた。
私がそれに手をのばして取ってみると、それはラピスラズリだった。水色に金の粉をふりかけたような宝石である。
私はしばらくながめていたが、持っていたキレイな星型のラピスラズリを向こうに放り投げた。
それは、私が宝石など、まったく興味が無く、持ち帰ろうとも思わなかったからであった。
私は、はっと目を開けた。
どうやら私は、ろうかでいねむりをしていたようだった。
私は夢を見ていたのだろうか。さっきまで確かにあいていた穴もすっかりなくなっていた。
しかし、確実にあの場所に行った形せきがある。
私が投げ捨てたはずの、星型のラピスラズリが、近くに転がっていた。
「ラピスラズリ…。」
物音一つさえしない静かなろうかに、おどろきの混じった自分の声が、ひびきわたっていった。
続く…




