第二十七話 去ったライバル
第二十七話 去ったライバル
春・夏休みも終わり、生活も元の状態に戻った。
一年もあと三ヶ月、月日はいつも早く流れる、と私は毎年のように感じるのであった。
時計の針はチクタクと止まることなく進み、二学期のクラス分けが決まる運命の一学期末テストはあと一時間後にせまっていた。
今は生徒一人一人が勉強したり、魔法の練習をしたりして過ごしている。一番成績の低いCクラスにならないように。できればAクラスになっていてほしい、と願いながら。
一人私は屋根の上にいた。涼しいそよ風とゆったり流れる時間を全身で感じながら。もちろんかは分からないが、私はクラス分けでAになりたいなど気にしなかった。
Cでもいいと言うわけではないが、ひそかにAには入れるだろう、と思ったし、何といっても絶対にレイナより良い点をとってやる、と思っていたのである。
テストが始まった。
私は知識問題、実践魔法などとさらさらっとクリアしていった。どうしてもレイナに勝ちたかった。レイナにだけは絶対に。そのためにがんばって勉強してきたのだ。休み時間には毎日学校内をさぐりに行き、休日には広場で魔法の練習を六時間もやった。「勝利」という二文字のためだけに。
しかし、それはレイナも同じであった。この二人の努力と争いが、後に大変な結果となって訪れる─。
テストが終わった。
休み時間になったが誰一人としてしゃべり出す人はおらず、みんな一人で何かやるか、イスに座ってじっとしていた。
先生が教室に入ってきても、生徒はだまりこくったままで、先生はおもしろい話を話そうと思っていたのだが、すっかりその気が失せてしまった。
休み時間の30分間は先生にとってひややかで、こおりついたように感じられた。ただ先生は口を固く閉じた生徒達をながめていることしかできなかった。
9月中旬ごろのある日、いつも通りに教室の中に入った私は、何かが昨日と違っていることを感じた。
それが何かは分からなかったが、急に教室に入ってきて話し始めた先生の話を聞くとそれが分かった。
違い…それは、ライナと一学期末テストではげしく競い合ったレイナがこの教室にいないということだった。用事で休みなんてことでもなく、他の学校へ転校したというのだ。それも急に。このとき私は少しばかりおどろいたが、あとは何も思うことはなかった。
しかし、私の思いは後にやってくるものであり、ライバルが去った喜びと、仲間が一人いなくなったさびしさとが混ざり合い、普通ならもうねている時間帯になってもねることがまったくできず、一人でピコピコとゲームをしていた。
続く…
~ 「魔女のライナ」 作者 あら あらさん より ~
最近、第一話から少しずつ文を変えたりしています。
大幅にカットして、変わったところがたくさんあると思うので、ぜひ、読み直してみてください。




