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魔女のライナ  作者: あら あらさん
第二部 二つの守り石
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第二十六話 輝くエメラルドと効かなかった魔法

第二十六話 輝くエメラルドと効かなかった魔法


今は休み期間。人間の世界だと夏休みとか言うのかな。魔法界では夜の短い春から夏が長い休みになるんだ。


今は旅行中。日本の八ヶ岳に来ています。どこもかしこも緑だらけっ!すきとおった空気がおいしーい!


そうそう、大声では言えないけど今は昼間。魔法使いっていうのは日に弱いのに、ここははちがう。どんなに日に当たっても緑のバリアがはってあるように大丈夫。なぜだろう?


どたっ。


誰かが私にぶつかってきた!


イテテテ…


「ごめんなさい。急いでて…」


明るいくり色のかみの女の子が言った。そしてポケットのすきまから緑色のエメラルドがちらりと見えた。


「だいじょおぶ…」


と言いおわる前に、その女の子は行ってしまった。


相当、急用があったのだな~かなり大変そうだったねぇ。うん。


…あっという間に八ヶ岳は夜。


これがまたさむいのっ。人間界だから魔法使うとダメだし、とにかく着る、着る、着るっ!


それに荷物は少し整理しないとぐちゃぐちゃになるし、ふとんもシーツもひかなきゃいけなくて大変。走った後のように息切れが続く。…やっぱ魔法ってベンリ。そういう間にふとんにバタン、ぐーっ…1秒でねむってしまった。


「うーん、よくねたなぁ。」


わたしはのびをしながら起きた。朝のさわやかな日差しがしょうじのすき間から差している。


「さぁーてっと…」


私はふとんをはぎかけた、その時!


「さぶいっ!」


ここは北海道だったりして。いや北国か、それとも北極か!私はふとんにくるまった。その時、いっしょに来ていたママもさむいと思ったらしく、二人でみのむし状態になっていた。


寒さが少しおさまったころ、私は散歩に出かけた。


いつ見てもこの緑があざやかなこと。うん、美しいっ!それに歩いているとしげった葉や鳥やずっしりとすわっている木の声が聞こえるんだ。


「たすけてー!お、落ちちゃうよー!」とか、


「ぴよぴよ。上空はいっそう寒いわねぇ。」とか、


「毎年、たくさんの子が来ておるなあ。」なんて声が。


特別、魔女だからつぶやきが聞こえるだけでね。話をしてみたいもんだけど話をしていたら近くの人間に「こいつ、バカだ。」って思われちゃうし。つまんないの。


なんて思いながら歩いているといつの間に部屋の前に!?私は部屋でお話を書くことにした。お話って書くのはむずかしそう。うーん主人公はぁ…花野井桜っとか!小学校10級の見習い魔女がとつぜん人間界に行っちゃってぇ…とか良いかもっ!



『魔女っコさくら』


第1話 人間界は?だらけ!


私、さくら!魔女学校に通っている10級草組の女の子。

この冬、新しくこの学校に来たのだけれど、なんか変な感じ。もちろん仲の良い子はたくさんいる。だけど意地悪な子や、やさしすぎて生徒をあまやかす先生。こんなのでうまくいくのかなぁ…。


ある日、先生は生徒達にこんな話をした。


「みなさんは、人間界に行きたいですか?」


この話をキッカケに生徒達は次々に話し出した。私の仲の良い友達、ももちゃん(加藤桃香)は、「私、行きたい!行くのが夢なのよ!」とうれしそうに言っていた。


意地悪な子、斉藤美音は、「はぁ?行きたいわぁなんて誰が言うのよ。あんな魔法一つ使えないアホどもの中に行くわけぇ?あぁそんな所行くったら、私までアホになりそうだわ。」と言う。もう一人、意地悪グループの中村亜矢もこう言った。


「そうよ。人間界に行くなんて反対。とても勉強になるなんて思えない。魔力の低下に行くようなものだわ。」


私はむかついた。


「なによ!私は行きたいわ。人間はとてもすてきよ。だって魔法なんて使わなくても、いろいろなことができるんですもの。あぁ、大変だけど一度人間界に行って魔法を使わずにいろんなことをやってみたいものだわ。」


私はうっとりしながら言った。


先生は、

「そうですね。それはとてもいい意見ですよ、花野井さん。実はこの前、魔法会議があったんです。議題は『魔女の子どもは人間界に行った方が良いのか』です。もちろん意見は分かれました。しかし、大人が行くものではなく子どもが行くもの。自分の意見に合ったいい理由を子どもに出してもらって、その理由を出し合って決めようということになったのです。花野井さん、すばらしい理由。ぜひその意見、使わせてもらいますよ。」


私は心の中で美音と亜矢に対して、「ふん、ざまーみろ。」と思っていた。


…一ヶ月後…


会議で『魔女の子どもは人間界に行った方が良い』ということになったのだろうか、明日から一ヶ月間、人間界に住むのだ。ルールはこうだ。

まず、三人組を作る。次にどんな家がいいか話し合い、家のデザインをする。そして魔法で家を建てる。最後に人間界に行き、できた家に住むのだ。

ただし、魔法は行き帰り以外、絶対に使ってはいけないことになっている。使うとそく、魔法界にもどされるらしい。


魔法が使えないのはつらいけど、これが無事に終われば一人前!


がんばるぞぉー!魔法を使わないようにがんばる!いや、使わずにいられるだろうか?使うかも…わーん。


あっという間に一日が過ぎた。


あぁ、今日から一ヶ月間人間界でくらすことになる。うぅ、まさにドキドキ、ワクワク。

私は三人組を作った。私と、ももちゃんとゆりちゃん(白河百合子)だ。まぁ、この三人なら大丈夫だろうとは思う。


美音と亜矢と杏奈(谷杏奈)の所は絶対なにかやらかすぞ。だってあれだけ人間界に行くことを反対してたもの。人間がかわいそうなくらいの悪口を言っていたし。よくあんな言葉が口から出るよね。まったく。


先生から白いシートと生活辞典が配られた。白いシートを下に置いて、自分の思う家のデザインを言うとその通りのものが立体でうかびあがるのだ。もちろんこれはまぼろしであり本当にはない。その三人組だけに見えるのだ。生活辞典は生活でゆいいつ使ってよい魔法である。辞典を開いて生活で分からないことを言うと、その答えがうかびあがってくるのだ。言葉や漢字でも使えるのでかなり便利。


ーーーという間に家のデザインは完成!人間界へしゅっぱーつ!


…一週間後…


「ああぁぁぁー。もうムリ。だめ。」


私はふとんにたおれこんだ。


なんとか魔法を使わずにいけてるけど、人間の生活はほんっとにつーかーれる!家具が何に使うのかも分からなかったんだよ、最初は。

せんたく機なんかは、魔薬を作るつぼみたいのの代わりだと思って、冷ぞう庫に入っていた牛乳としょうゆを薬品だとかんちがいして、せんたく機に入れちゃうし。なべなんかは流行のぼうしだと思って頭にかぶっちゃうし。つくえなんかは、ベットとまちがえたんだよ!ベットにしてはかたいと思ったけどさ。まったく。


今はおふろっていうやつ?あれの使い道を考えているところ。考えているつもりだけど頭の回転は全くしていない。あぁ分からんっ!


人間界は?だらけ!


…終わり


「ふぅ…。」


お話を書き終わった私は一息ついた。良い出だしだったかもしれない。いやそんなよかったか?だめだったかも、うわーん!


日がしずみ、空も暗くつきが姿を現したころ、私とママは食堂に向かった。魔女はいつも魔法を使っているため苦労することが大キライなので、私達はエレベーターを使うことにした。しかし、そこにはってあった「故障中」の文字が全く視界に入っておらず、ぺちゃくちゃ話をしながら数十分間待った。しかし、エレベーターは来ないのでだんだんいらいらしてきた。


「エレベーターよ…!」


ガチャ


言いかけたしゅんかん、人が出てきた。


「早く来い!」


私が首から下げていた星型のアメジストの付いたネックレスがまぶしいほどむらさき色に光輝いた。しかし、その魔法は効かなかった。少し前にぶつかってきた少女が私をぼうぜんと見ていた。首から星型のエメラルドのついたネックレスをさげている。そして、


「星型…あの石は…アメジスト…」


とつぶやいた。


しかし、私とはかなりのきょりがあったため、そのつぶやきは私の耳にとどかなかった。

私達の周りに流れていた空気が止まったかのようだった。



続く…。


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