第二十五話 地下道の先
第二十五話 地下道の先
「あぁ~。何もないなぁ。」
今、私は学校や国の秘密をさぐるために、校内を探険していた。
たしかこの前読んだ本に、屋根のアメジストとつながるものが校内にたくさんある、というようなことが書いてあった気がするのだが、そんなものはどこにも見つからない。
ーと思いながら、諦めぎみに校内のろうかに腰をおろすと、…ゴゴゴゴ…という音がして、かべに人が入れるくらいの穴がぽっかりとあいていた。中をのぞてみると、うす暗くて下の方へ階段が続いていた。
「はぁ…何かある意味ラッキーかも。」
私はホコリまみれになっていた階段を、トントントンと下りていった。
うす暗い道はずっと続いていて、足をふみ出すたびにコンと足音がこだましていく。そんな地下道だが、人がいるようにところどころ火の灯ったロウソクが置いてあった。
私ははっとして立ち止まった。近くからガッガッガッと音がするのである。よく周りを見わたすと、私の横に15才くらいの女の人がゆかにすわっていて、なにやら作業をしていた。
するとその女の人はふり向いて、
「おや、おまえ、来たのか。よくここが分かったね。ここに人が来るのは何十年ぶりかの…。」
と、つぶやいた。
な、ななな何十年!?私はビックリした。
そうか、この人は昔からここに住んでいる老人…か。私は気づいた。
「あ、あの、今、ここで何をしているのですか?」
わたしはおそるおそる聞いてみた。なんとなく、不思議に思ったのである。
「はっはっは、気になったか。わたしはもう1259年生きているもんでね。長生きするには、ふつうの生活なんかじゃダメだ。こうして毎年薬を作り、それを飲むことでずっと生きていられるのだよ。」
へぇ~、不老不死の薬ってわけかぁ。うんっ、なんかすごい!!
「ハックション!!」
私は、外見十五才、中身千二百五十九才のおばあさんと分かれた。
さっきからくしゃみがよく出る。かぜでもひいたかな?と思いながら自分の体を見た私はびっくりした。
私はホコリまみれになっていた!全身ホコリ女になっていた!!
私はホコリをぱっぱとはらいながら、また歩き出した。
そこからちょっと歩いたところに部屋があるのを見つけた。それが気になった私は、きょろきょろしながら、そろりそろりと部屋に入った。そこには、部屋をうめつくすくらいたくさんの、アメジストが置いてあった。
見たこともない紫の世界に感嘆していると、ひときわ小さなアメジストを見つけた。アメジストはふつう、とうめいなむらさき色をしているのだが、そのアメジストはすきとおるようなほどきれいなむらさき色だった。
わたしは10分ほど、そのアメジストを手にのせて、うっとりとしていた。
「そのアメジストは…!!」
しわがれた声が私の後ろにひびいた。思わずふり返った。
「その石は、ほかの石とはちがう。それは、歴史をきざみ、力を持っている石じゃ。」
「歴史をきざみ、力を持っている…石。」
私はつぶやいた。その石は長い歴史の風景がまさに伝わってくるような、しんぴ的な輝きを放っている。私の体に衝撃が走った。
「それはおまえにやろうと思う。おまえにはまだ先のことではあろうが、その石は絶対におまえを守ってくれるだろう。私にはそのことが…その石から強く伝わってくる。」
そう言うと、声は聞こえなくなった。しーんと静まり返ったこの地下道。むらさきに輝く部屋に、
「わたしを…守る…?」
私のつぶやきがこだましていた。
続く…。




