第十二話 むらさき色の光
第十二話 むらさき色の光
私は、学校の屋根に登って葵と月をながめていた。
「きれいな月~。ちょうど今日は満月の日だったね、よかった。」
私はそう言った。
「本当に夜景がきれいだよね。この町って。」
そのとき、(…ナ…ライナ…)と、誰かが私の脳に語りかけてきた。
これは魔法だ。この魔法を使えば、会わなくても会話ができる。でもこの魔法はふだんあまり使わない。ということは何かあるということなのだ。声の主は輝沙ちゃんだろう。
(輝沙ちゃん、どうしたの。)
わたしは語りかけた。
(ラ…ライナ。今、変な魔じゅつしにつかまったの。ロープでしばられて、空を飛んでいるほうきにつり下げられているのよ!)
そのとき、わたしはどきっとした。
昨日、先生が言っていたことを思い出したからだ。
「人間を魔法に左右されずに生きていくために、魔女を捕まえて魔力をとり、人間として送り出してしまうのです。」
「大変!輝沙ちゃんが…。」
輝沙ちゃんとわたしが話したことは葵にも分かったようだ。
「落ち着くのよ。あのね、魔じゅつしが悪いことをすると、体がむらさき色に光るの。その光をさがせば…。」
わたしはあわてて辺りを見回した。すると西の方角にむらさき色の光が見えた。
続く…。




