第一話 真っ暗な夜と大人びた少女
今から3千万年ほどたった世界。
今も青い地球のまわりには、新しい星が存在していた。
しかし、人間はいまだにその存在を知らずに過ごしていたのだった。
そうこうしている間に、新たな星から来た新たな人類が、地球に現れていた。
第1話 真っ暗な夜と大人びた少女
「はあ…。」
夜空に三日月が輝く街中に、スッと白い息が消えていった。
この道を誰か人が通れば、真夜中にひっそりとした路地をまっすぐ歩いている、この少女が気になったかもしれない。
時計の針は11を指している。普通、子供はすやすやと寝ていなければいけない時間であった。
少女は、なめらかな栗色の髪をなびかせて、足音1つたてずに、静かに歩いていった。
だいたい8才ぐらいに見えるだろう。けれど、この少女は「大人です。」というようなオーラを漂わせながら歩くのだ。誰が見ても、大人とまちがえてしまうほどだった。
突然、少女は足を止めた。
その純粋な黒い瞳で見ているのは、目の前にあった古い建物だった。
その建物は、紫色の屋根をし、窓ガラスはほとんどが割れていた。そこから見える中の部屋は薄暗くほこりだらけだった。
しかし、少女は、全く怖がっていなかった。「別に何でもない。」という表情をし、丈夫そうなドアの取っ手に手をかけた。
「ギイィィィ」と静かな夜の街にドアの音が響いた。
しかし、少女が建物のなかで「カチャリ」とドアの鍵を占めたとき、古い民家の立ち並ぶ路地の行き止まりに、紫色をした屋根の古ぼけた建物はなく、ただ、ぽっかりとした空き地があるだけだった。
続く…。




