紫の魔石と、対戦車擲弾発射器(RPG-7)の咆哮
【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】
★毎日「朝7時」更新中!★
舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!
剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!
※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!
地底湖の中央で、巨大な水棲の大蛇が鎌首をもたげた。
額に埋め込まれた『紫の魔石』が毒々しい光を放ち、周囲の清らかなマナを強制的に汚染していく。
「チッ……水の中じゃ動きが速すぎる。狙いが定まらねえ」
ポンタは右肩に巨大な筒状の兵器――『RPG-7(対戦車擲弾発射器)』を担ぎながら、舌打ちをした。
大蛇はポンタの構える未知の兵器に警戒したのか、巨体に似合わぬ猛スピードで黒く淀んだ水中を泳ぎ回り、的を絞らせない。
『シャアアアアッ!!』
大蛇が水面から大きく口を開いた。紫の魔石の力で極度に圧縮された、高圧の『黒い毒水』が、瀑布のようなブレスとなってポンタたち前衛を襲う。
「させません! 『プロテクション』!」
後衛のエリスが素早く聖樹の枝杖を掲げた。
展開された光の防壁に猛毒のヘドロが激突し、ジュウウッと岩すら溶かす嫌な音と白煙が上がる。だが、以前のように幾重にも障壁を重ねがけする必要はもうない。魔力制御の精度が格段に上がり、確かな成長を遂げているエリスの強固な一枚の盾は、前衛の三人を完全に護り抜いた。
「皆さん、今のうちに! 『身体強化』!」
防壁を維持したまま、エリスが前衛のポンタ、ヒルデ、ガロに支援魔法を飛ばす。温かな光が体を包み込み、筋力と反射神経が爆発的に跳ね上がった。
「行くぞ!」
「おおおっ!」
ガロが驚異的な脚力で水際へ飛び出し、『紅魔の長剣』から鋭い真空の刃を飛ばして大蛇のヘイト(敵視)を強引に稼ぐ。
大蛇の意識がガロに向いた瞬間、ヒルデが地底湖の底から岩柱を隆起させて足場を作り、一気に大蛇の側面へと肉薄した。
「ハァッ!」
レッドミスリルのガントレットから放たれた重い一撃が、大蛇の胴体を殴りつける。だが、紫の魔石によって鋼の如く硬化した鱗に阻まれ、致命傷には至らない。
(ソフィア! 奴の構造的弱点と、RPGの有効打を解析してくれ!)
『了解しました、マスター。対象の額にある「紫の魔石」が、装甲硬化と再生を司るコアユニットです。ただし、対象が水中にいる状態での発砲は推奨しません。水の抵抗により、成形炸裂弾の貫通力が80パーセント減衰します』
(やっぱりか。水という最強の装甲を引っ剥がすしかねえな)
ポンタは即座に戦術を切り替え、パーティー共通の念話スキルで叫んだ。
「あの額の紫の石が弱点だ! 水中じゃ火器の威力が死ぬ! 奴を水から引きずり出して、動きを止めるぞ!」
「任せて師匠! 魚のバケモノなら、これでイチコロだよ!」
ポンタの指示に即応し、ルルが水面へ向かって自作の魔道具を力いっぱい投げ込んだ。
ルル特製『電撃グレネード』。
着水と同時に、地底湖全体に青白い稲妻が弾けた。
『ギ、ギュルルルルルッ!?』
全身を駆け巡る高圧電流に耐えきれず、大蛇が水しぶきを上げて空高く跳ね起きた。
巨体を空中に晒したものの、大蛇はなおも狂乱して首を激しく振り回し、致命の的である『額』を容易には狙わせない。
だが、その暴れる巨体の動きを、冷徹に見据える黒髪の少女がいた。
「暴れて水しぶきを上げても無駄です。あなたの出すその不快な音で、急所の位置は丸見えですから」
後衛のミリーナが、特注のイヤーマフ越しでも正確に音を拾い上げ、弓の弦をギリッと限界まで引き絞る。
狂乱する大蛇の予測軌道。その完璧な一点に狙いを定め、彼女は静かに息を吐いた。
「……風の力をお借りします。その不浄な眼を射抜いて!」
放たれた矢は、風の精霊シルフィの加護を受けて鋭いカマイタチを纏い、空中で激しく身をよじる大蛇の『右目』へと狂いなく突き刺さった。
『ギュヤアアアアッ!?』
視界と平衡感覚を奪われ、激痛に大蛇が大きく天を仰ぐ。
「逃さんぞ! 『アース・ジャベリン』!」
そこへヒルデの鋭い声が響いた。
地底湖の底から、鋭く巨大な岩の槍が何本も勢いよく突き上がり、空中の大蛇の巨体を下から串刺しにする。
完全に動きを縫い止められた大蛇。その額の紫の魔石が、ポンタの視界のど真ん中に固定された。
「よくやったお前ら! 完璧なキルゾーンだ!」
ポンタがRPG-7のグリップを強く握り込み、照準器を覗き込む。
ソフィアのタクティカル・ビジョンが、赤いロックオンのカーソルを魔石に重ね合わせた。
「後方爆風クリア! ……これでトドメだ!!」
引き金を引く。
ドゴォォォォンッ!!という、洞窟を揺るがす凄まじい発射音。
ポンタの肩から放たれたロケット弾が、白い尾を引いて一直線に大蛇の額へと吸い込まれた。
着弾の瞬間、レッドミスリル製の弾頭内部で爆発が起きる。その恐るべきエネルギーが前方の円錐状の窪み(ライナー)によって一点に集中され、数千度を超える超高温・超高圧の金属噴流――『メタルジェット』を生み出した。
神の如き破壊力を持ったその一撃は、強固な紫の魔石ごと大蛇の分厚い頭蓋骨を木っ端微塵に粉砕する。周囲の空間がぐにゃりと歪むほどの凄まじい大爆発が巻き起こり、大蛇の頭部は肉片すら残さず完全に消し飛んだ。
「…………っ」
声にならない断末魔と共に、首から上を失った大蛇の巨体が、ゆっくりと岩の槍から抜け落ちて地底湖へと沈んでいく。
後に残ったのは、滝の轟音と、静けさを取り戻した水面だけだった。
「終わったか……。すげえ威力だな、RPG」
「はいっ! さすがポンタさんです!」
ポンタが発射後の熱を帯びた筒を下ろすと、エリスが小走りで駆け寄ってきた。
彼女はそのまま地底湖の縁に立つと、静かに祈りを捧げる。
「大治癒」
エリスの杖から放たれた神々しい浄化の光が、地底湖全体を包み込んだ。
紫の魔石が砕け散ったことで汚染の供給源は絶たれており、墨汁のように黒く濁っていた水は、瞬く間に本来の清らかで透明な水脈へと戻っていく。
「信じられない……。あれだけ凶悪なバケモノを、たったの一撃で……」
ガロが長剣を鞘に収めながら、呆然とした声で呟いた。
獣人としての本能が理解できないほどの破壊力。そして何より、誰一人欠けることなく、それぞれが完璧に役割をこなす恐ろしいほどの連携。Sランクパーティーの真髄を目の当たりにし、ガロは深く感服の息を漏らした。
「ガロ、怪我はないか?」
「あ、ああ……! 俺は無傷だ。あんたたちの戦い方、本当にすげえな」
「そいつは上出来だ。お前もいい動きしてたぜ」
ポンタはRPG-7をアイテムボックスへと収納し、軽く肩を回して息を吐いた。
ふと視線を向ければ、洞窟の入り口の向こうから、眩しい夕日の光が差し込んでいる。
「さて、仕事は終わりだ。ニアや村の奴らが待ってる。さっさと帰って、美味い飯を食おうぜ」
ポンタのその言葉に、全員が安堵の笑みを浮かべて頷いた。
こうして、帝国の悪意からオアシスを護り抜いた一行は、勝利の凱旋と共に『滝の集落』へと帰還するのだった。
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