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未知の爆発ロジックと、奇跡の銃火器

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!


「エリス、みんな! 舌を噛まないように、俺にしっかり掴まってろ!」


 王都ゼリアの迎賓館。

 少年形態のポンタが指を鳴らした瞬間、一行の足元に眩い幾何学模様の魔法陣が展開された。

 視界が真っ白に染まり、空間が歪むような感覚が全身を包み込む。


「ひゃうっ!?」


「ぬおおおっ、空間に吸い込まれるような凄まじい感覚が……!」


 エリスがポンタに抱きつき、ヒルデが踏ん張る声が響いたかと思うと――光は一瞬にして弾け飛んだ。


「……ん、到着だ。ロード時間ゼロとは、恐れ入るぜ」


 ポンタが満足げに周囲を見渡す。

 そこは王都の豪華な部屋ではなく、城塞都市アルメニアにある彼らの拠点『アカマルハウス』の庭だった。


「あら、ポンタ。帰ってきたのね。……ちょっと、泥だらけの靴で庭を歩かないでよ!」


「おかえりなさいませ、ポンタ様〜!」


 庭の掃除をしていた風精シルフィが箒を片手に腰に手を当てて小言を言い、水精マリーが嬉しそうに駆け寄ってくる。


 ユーグによって拠点をパスで繋いだことで、この二人の精霊姉妹は王都の屋敷とアルメニアのアカマルハウスを自由に行き来できるのだ。

 昨日は王都の拠点の掃除もしていたというのに、なんとも掃除好きな精霊たちである。ポンタたちにとっては非常にありがたい話ではあるが。


「悪い悪い。忘れ物を取りに帰ってきただけだ」


 ポンタは留守番組の二人に軽く手を挙げると、一行を連れて敷地の奥にある離れの工房へと向かった。


 扉を開けると、むせ返るような鉄と油の匂い。

 カンカンと熱した鉄を打っていたドワーフの親方、ボルグが、ポンタたちの姿を見てハンマーを下ろした。


「おう旦那。無線を切ってから本当に一瞬で来やがったな。空間転移とはたまげたぜ」


「ああ、さっき出来る様になったんだ」


 汗を拭うボルグに、ポンタはあっさりと答える。


「旦那はほんと規格外だな……」


 最初はポンタの行動に度肝ばかり抜かれていたボルグも、度重なる規格外の事態にすっかり順応しているようだ。長い年月を生きるドワーフは、意外と頭が柔らかいのかも知れない。


「そういやボルグ、自分の店(武器屋)はずっと放ったらかしだが大丈夫なのか?」


 ポンタはふと気になっていたことを尋ねた。すると、ボルグは豪快にガハハと笑った。


「あんな店はただの暇つぶしの道楽だ。気にするこたぁねえ。……それより、旦那が持ち込む『未知の武器』を形にする方が、何百倍も心が躍るからな」


 ドワーフの老練な顔に、まるで少年のように純粋な探求心の火が灯っている。

 ポンタは「さすが生粋のモノづくりバカ(ドワーフ)だな」と嬉しくなり、口角を上げた。


「じいちゃん! さっそく見せて!」


 王都から一緒に転移してきたルルが、目を輝かせて作業台に駆け寄る。

 ボルグがニヤリと笑い、作業台の上の分厚い布をバサァッ!と剥ぎ取った。


「おう。見とけよ旦那、これが俺たちと、前家主アイゼンの遺産の結晶だ」


 そこには黒鈍色に光る、二つの無骨な重火器が鎮座していた。


 一つ目は、先端に巨大な弾頭を備えた無反動砲。対地・対装甲用の超火力、RPG-7(対戦車擲弾発射器)。

 二つ目は、四角い照準器と太い砲身を持つ防空兵器。FIM-92 スティンガー(携帯式防空ミサイル)だ。


「この屋敷の元主アイゼンが残した『指向性爆発』の資料が、完璧なアンサーになったぜ」


 ボルグの説明に、ポンタの脳内でソフィアが冷静なアナウンスを挟む。


『補足。この世界の火属性魔法は、基本的に「火の玉(熱塊)の射出」や「火炎放射」に留まります。密閉空間での急激な膨張を利用し、物理的な破壊力を伴って弾け飛ぶ「指向性爆発」という兵器概念は、マスターのいた世界の物理法則ロジックであり、この世界では完全に未知の領域です』


「なるほどな。魔法使いじゃ思いつきもしないアプローチってわけだ」


 ポンタは納得しつつ、RPGの弾頭を撫でた。


「弾頭部分は特級のミスリルで打ってある。あとは旦那の魔力次第だ」


 ボルグに促され、ポンタは二つの重火器に手を触れ、自身の魔力――FPSのロジックを流し込んだ。

 ミスリルの弾頭が微かに脈打ち、ポンタの魔力を「起爆薬」として完全に記憶する。

 RPGには圧倒的な『爆裂効果』が、スティンガーには魔力(熱源)探知と融合した『自動追尾ホーミング機能』が完全に付与された。


「……完璧だ。俺のロジックを直接刻み込んだから、俺の魔力トリガー以外じゃ絶対に撃てない仕様になったぞ」


 ポンタは満足げに頷く。


「これなら、万が一敵に武器を奪われても発動する心配はねえな。……まあ、そんなヘマして奪われる気は毛頭ねえが」


「ちなみに、弾数はそれぞれ三発ずつだ」


 ボルグが腕を組んで付け足す。


「ミスリルの加工と特級魔石の調整に手間がかかるんでな。随時量産はしていくが、今すぐ用意できるのはそれが限界だ」


「三発ずつか。上等だ」


 ポンタはニヤリと笑う。

 弾薬リソースが制限された中で、いかに使い所を見極めて戦況を覆すか。それこそがFPSの醍醐味であり、ゲーマーとしての腕の見せ所だ。


 ポンタの『現代知識』、アイゼンの『誘導錬金術』、ボルグの『神業の鍛冶』、そしてルルの『天才的機工技術』。

 誰一人欠けても成し得なかった奇跡の銃火器をアイテムボックスに収め、ポンタは仲間の頼もしさを痛感した。


「まあ、元の家主のアイゼンとやらには感謝だな。……しかし、こんな知識をどうやって手に入れたんだか」


 ポンタは格納したばかりの弾頭の感触を思い出しながら思考を巡らせる。

 アイゼンは、このアカマルハウスの元のオーナーであり、かなり昔にこの世を去っている凄腕の錬金術師だ。精霊姉妹の元契約者でもあるが、そういえば詳しい素性は聞いていなかった。


(今度、シルフィにでも聞いてみるか……)


 ポンタの脳裏に、かつてこの世界に『次元航行船ダルマ』をもたらした同郷の転生者、赤の賢者の影がよぎる。アイゼンの残した規格外の知識も、もしかすると彼と何らかの関係があるのかもしれない。


◇ ◇ ◇


 装備を整えた後、一行はリビングルームに集まっていた。

 大きなオーク材のテーブルの上に、一枚の巨大な『世界地図ワールドマップ』が広げられている。


「現在私たちがいるのはここ、人類の大国『グランゼリア王国』です」


 元トップ受付嬢のミリーナが、指示棒を片手に凛とした態度で説明を始めた。


「この世界には大きく分けて六つの大国が存在します。東の脅威『機甲帝国ガレリア』。西の地下鉱山都市『ドワーフの国』。中央の『宗教国』。幻の森『エルフの国』。そして……今は黒い汚染に覆われた廃墟『旧・聖王国アイギス』」


 アイギスの名を口にした時、エリスが小さく息を呑んだ。ポンタがそっと彼女の手を握ると、エリスは気丈に頷き返した。


「そして大陸の最北端、すべての生命を拒絶する極寒の『北の永久凍土(死の大地)』。この猛吹雪の奥深くに、世界樹の母体マザーがあると言われています。皇帝ガレリウスの最終目標もそこです」


 ミリーナは指示棒を滑らせ、大陸の南部に広がる緑の領域を叩いた。


「ですが、最初の目的地はここです。大森林地帯を領土とする『獣王国』。帝国の環境汚染の影響を最も受けているはずです」


「ニアの本当の故郷なの! 絶対に帝国から護るなの!」


 物心つく前に孤児になり、故郷の記憶がないニアが、決意を込めて猫耳を立てた。


「よし、ルートは決まったな」


 ポンタがアイテムボックスを軽く叩き、気合を入れ直した、その時だった。


『――ピーッ。マスター。特定周波数からの通信を受信。アルメニアのギルドマスター、ギデオンからです』


「ん? ギデオンから?」


 ポンタが念話を開くと、隻眼の大男の野太い声が響いた。


『おう、ポンタか。魔術師団長のミランダの奴が、「ポンタ様の尊い魔力を感知しましたわ!」って大騒ぎしててな。……お前、もしかしてもうアルメニアに来てるのか?』


「(……あの魔術師団長、どんだけ俺の魔力に敏感なんだよ)」


 ポンタは内心でツッコミを入れつつ、苦笑して答えた。


「ああ、ちょっと忘れ物を取りにな。すぐまた出立する予定だが」


『そうか。なら、悪いが出発する前にちょっとギルドに顔を出せ。お前に直接渡しておきてえモンがある』


「……わかったよ。すぐ行く」


 通信を切り、ポンタはやれやれと肩をすくめた。


「出発は少しお預けだな。……ちょっとギルドに行って、あのオッサンに会ってくるぜ」


 王都での叙勲、そして世界を巡る特使としての使命。

 それらを引っ提げて、ポンタたちは久しぶりにアルメニアの冒険者ギルドへと足を向けるのだった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!


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