新生活は前途多難?禁断の混浴タイム
【カクヨムコン参加中の話題作、ついに「なろう」解禁!】
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「起・き・な・さ・いー! いつまで寝てるのよ、この怠け者ぉぉ!!」
「ふぎゃっ!? ぐ、ぐるじいぃぃ……!」
爽やかな朝の光が差し込む寝室に、悲鳴が響き渡る。
俺がフワリと浮遊して部屋を覗くと、そこでは毎朝恒例の「戦争」が繰り広げられていた。
憧れの天蓋付きベッドで優雅な二度寝を決め込んでいたミリーナの顔面に、宙に浮いたクッションが情け容赦なく押し付けられているのだ。
操っているのはもちろん、この屋敷の管理者(自称)である風の精霊、シルフィだ。
「んんぅー! やめ……せっかくの、お姫様モーニングがぁ……!」
「何がお姫様よ! エリスはもう洗濯を干し終わってるわよ! さっさと起きる!」
ドスッ、ドスッ! とクッションによる追撃を受け、ミリーナが涙目で這い出してくる。
元ギルド受付嬢の彼女は、どうやら根っからのダラけ体質らしい。
『……やれやれ。今日も平和だな』
俺は音もなく宙を滑るようにリビングへ移動しながら、この一週間の出来事を振り返っていた。
ゴルドー商会との契約は、実にスムーズだった。
俺たちが「幽霊と和解して一緒に住むことにした」と告げた時、あの食えないハーフリングの会長が、ポカンと口を開けて絶句していたのは傑作だった。
約束通り、相場の十分の一である白金貨15枚で、この「丘の上の屋敷」は俺たちの城となったのだ。
だが、安く手に入ったとはいえ、住み始めてみると色々と騒がしい。
まず、技術担当のルルだ。
彼女は屋敷の母屋ではなく、庭にある「離れ」の小屋――かつての家主である錬金術師アイゼンが使っていた工房を占拠した。
そこにはアイゼンが遺した膨大な研究資料や、この世界の一般的な技術水準とは思えない精密な実験器具が眠っていたのだが……これにルルが大興奮。
俺の現代知識(設計図)と、アイゼンの遺産が化学反応を起こしてしまったらしい。
日中は鍛冶師ボルグの店でガトリングガンのパーツを製造し、夜は離れの工房にこもって組み立てと調整を行う日々。
昨夜も『うへへ、これ凄いよぉ……回転数、もっと上げられるかも……』という不気味な笑い声が中庭に響いていた。
……まあ、本人が楽しそうだから良しとしよう。
次に、家事分担だ。
聖女のように世話好きなエリスと、おっとりメイド精霊のマリーは、驚くほど馬が合った。
二人で鼻歌を歌いながら、楽しそうに掃除や洗濯をしている姿は、この屋敷の唯一の癒やしだ。
一方で、問題児なのがミリーナだ。
彼女は隙あらばサボろうとする。
ギルド受付嬢時代に培ったという『業務時間内睡眠スキル(気配遮断)』を駆使し、カーテンの裏や空き部屋で惰眠を貪ろうとするのだが――。
「そ・こ! カーテンの膨らみ方が不自然よ!」
「ひぃぃっ! なんでバレるんですかぁー!」
屋敷の全てを把握しているシルフィからは逃げられず、毎日追い回されている。
まあ、良い運動だろう。
そして、何より一番の大事件は――数日前の「大浴場」の一件だ。
屋敷の一階奥にある大浴場。
長年使われておらず、埃とカビにまみれていたその場所を、俺たちは総出で掃除した。
マリーが【水魔法】で高圧洗浄し、シルフィが【風魔法】で乾燥させる。
仕上げに女子メンバーがブラシで磨き上げ、廃墟同然だった浴場は、王侯貴族も裸足で逃げ出すほどの豪華なスパへと生まれ変わった。
だが、問題が一つあった。
お湯を沸かすための魔導ボイラーが、故障していたのだ。
「水は出せますけどぉ、冷たいお水だけですわぁ」
「うーん、修理には時間がかかりそうだよ」
困り果てる一同。
そこで、エリスがポンと手を打ち、満面の笑みで俺を見たのだ。
「そうだ! ポンタさんがいるじゃないですか!」
『……はい?』
結果。
俺は、並々と水の張られた巨大な浴槽に沈められていた。
『(……俺は湯沸かし器じゃねぇぞ)』
心の中でボヤきつつも、俺は体内の魔力炉をフル稼働させる。
俺のボディは魔力を熱変換して放熱することができる。戦闘時はオーバーヒートしないよう排熱しているが、今回は逆だ。
ジュワワワ……と俺の周囲から気泡が立ち上り、冷たい水がみるみる適温のお湯へと変わっていく。
「わぁ……! すごーい! 露天風呂みたい!」
「ポンタ様、あったかいですぅ!」
浴槽の縁で、ルルとミリーナがはしゃいでいる。
ここまでは良かった。
ここまでは。
「さあ、お湯も沸きましたし、私たちも入りましょう!」
タオル一枚を巻いたエリスが、なんの躊躇いもなく浴槽に入ってきたのだ。
『ちょっ、待てエリス! 俺はまだ入ってるぞ!』
「え? 一緒に入りましょうよ。ポンタさんがいないと、お湯が冷めちゃいます」
『いやダメだろ! 俺の中身は男なんだぞ!?』
俺は必死に抗議(念話)する。
いくら今の俺がダルマ姿とはいえ、中身は「向こうの世界」で生きていた29歳の独身男性だ。
年頃の娘たちと混浴なんて、理性が蒸発してしまう。
「あら~、ご主人様も背中を流してほしいんですのねぇ~。遠慮なさらず~」
『うわっ!?』
天然メイドのマリーが、背後から俺をグイッと押し込んだ。
俺の体は浮力でプカプカとエリスの方へ流れていく。
『ま、マズイ……!』
湯気越しに見える、エリスの白い肌。ルルの健康的な肢体。ミリーナの豊満な曲線。
視覚情報が脳を焼き尽くしそうだ。
『ソフィア! 視覚遮断だ! カメラを切れ!』
『警告。視覚情報の遮断は推奨されません。周囲の警戒レベルが……』
『いいから切れ! これは緊急事態だ!』
ブツン。
俺の視界が闇に包まれた。
ふぅ、これで一安心――。
むにゅ。
『……ん?』
視界が消えた直後。
俺のボディに、柔らかく、温かい感触が押し付けられた。
「ふふ……ポンタさん。今日もたくさん磨き上げますね」
エリスだ。
彼女が俺を抱きしめているのだ。
視覚を切ったせいで、逆に触覚が鋭敏になってしまっている。
古代の遺物である俺のボディは、伝説の金属ヒヒイロカネ製だが、なぜか触覚機能だけは無駄に高性能だ。
装甲越しでも分かる、圧倒的な柔らかさと、母性。
『(~~~~っ!!)』
『報告。マスターの心拍数および魔力炉の温度が急上昇中。冷却機能が追いつきません。……随分と楽しんでいますね?』
『う、うるせぇ! これは修行だ! 精神統一だ!』
俺の体温が急上昇したせいで、お湯の温度が「熱め」設定になったのは言うまでもない。
――とまあ、そんなハプニングもありつつ。
俺たちの共同生活は、騒がしくも順調に回り始めていた。
「ポンタさーん! 朝ごはん出来ましたよー!」
エリスの声で、俺は回想から引き戻された。
ダイニングに行くと、マリーが用意した豪華な朝食が並んでいる。
俺の席には、クリスタルのグラスに入った液体が置かれていた。
「今日は特別に、裏山で採れた湧き水を使った『高純度魔力水』をご用意しましたわ」
『ほう、気が利くな』
本来、俺の動力源である魔力は、エリスのスキル『接続者』を通じて異次元から無限に供給されているため、経口摂取の必要はない。
だが、マリーは「気分転換も必要ですわ」と、こうして嗜好品としての魔力水を用意してくれる。
さすがは精霊、マナの味の違いが分かるらしい。
ようやく起きてきたミリーナも、寝癖がついたまま席につく。
『さて、英気も養ったことだし……そろそろ本格的に動くとするか』
ガトリングガンの完成も近い。
この世界で成り上がるための準備は整いつつある。
そう俺が決意を新たにした、その時だった。
ピピピピピ……ッ!
俺の脳内で、甲高い呼び出し音が鳴り響いた。
この周波数を知っている相手は、一人しかいない。
『……ギデオンか』
俺は思考操作で回線を繋いだ。
これは俺のスキル『分隊無線』の応用だ。
以前、ギデオンと回線を繋いだ時、彼は腰を抜かすほど驚いていた。「道具もなしに遠距離会話だと!? 戦争のあり方が変わるぞ……!」と。
脳内に、あのギルドマスターの低い声が直接響いてくる。
『――よう、Bランクパーティ『アカマル』の諸君。優雅な新生活を満喫しているところ悪いが……仕事だ』
どうやら、のんびりした日常はこれまでのようだ。
俺はニヤリと笑い(心の中で)、ギデオンに向けて思考を飛ばした。
『ああ。いつでもいけるぜ』
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今回はここまでです。
チームアカマルに新メンバーが加わりました。
精霊姉妹のシルフィとマリー。
設定資料もよかったらご覧ください
【キャラクター紹介:シルフィ】
風の精霊
ツンデレの性格でいつも怒っているがそれは照れ隠しでもある。
意外としっかり者で責任感があり天然の姉に変わり実質屋敷を守って居た。
現在は前家主(錬金術師のアイゼン)との魔力のパスが切れて居て、強力な精霊魔法が使えず、ポルターガイストの様な風魔法で物を浮かせるくらいしか出来ない。
今後ある事がきっかけで本来の力が復活するがそれは今後のお楽しみである。
【キャラクター紹介:マリー】
水の精霊
いつもニコニコ非常におっとりしているシルフィの姉の精霊。
料理の腕は逸品だが、魔力のパスが切れて居て大きな胸のバランスが悪いのか良く転ぶ。
今は水を出すくらいの精霊魔法しか使えないが、こちらも同じくある条件が揃うと力が取り戻せるらしい。
シルフィ同様拠点を守る頼もしい?仲間である。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回はお風呂にわちゃわちゃシーンや日常のアカマルハウスの描写の回でしたがいかがでしたでしょうか?
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