表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『元世界ランク1位、異世界で【浮遊砲台】になる。~手足のないダルマに転生しましたが、FPS視点の「魔弾」でヘッドショット余裕です~』  作者: 暁月カケル
世界樹防衛編 ――星の楔(くさび)と、世界を巡る特使たち――

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/135

聖域の記憶と、母の愛(ログ)

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!


トールガル王の案内で、俺たちはアイアンホルムの最深部へと足を踏み入れた。


地下深くへ続く分厚い隔壁をいくつも抜け、辿り着いたその場所は、息を呑むほど美しい空間だった。

澄み切った巨大な地底湖。その中央にそびえ立つ岩山に絡みつくようにして、淡く緑色に発光する巨大な木の根が、脈打つように静かな光を放っている。


ドワーフの地下都市を支える命の源、『世界樹の根』だ。

だが、俺たちの視線は、その神秘的な根そのものよりも、根の根元に鎮座する『異様な存在』へと釘付けになっていた。



「……ッ! 皆、武器を構えろ! とてつもないプレッシャーだぞ!」



ヒルデが即座に戦斧を構え、ヒロインたちが一斉に緊張を走らせる。

そこにいたのは、山のように巨大な『単眼の巨人』だった。

全身が未知の輝く鉱石と岩の筋肉で覆われ、静かに座禅を組んでまどろんでいる。


後方にいたミリーナに至っては、両手でイヤーマフをきつく押さえ、ガタガタと震え上がっていた。



「だ、ダメですポンタ様! この存在の『心音』……まるで活火山そのものです! もし怒らせたら、一瞬で私たちが消し炭に……ッ!」



(ソフィア、アレはなんだ? 敵性生物か?)


『マスター、敵対生物ではありません。あれは神話に伝わる鍛冶の神の使い、『キュクロプス』と推測されます。この聖域と、ドワーフの国そのものを護る神聖なガーディアンです』



ソフィアの冷静なアナウンスを聞き、俺は片手を上げて皆を制止した。



「落ち着け、武器を下ろせ。あれは魔物じゃない、この聖域の守護者だ」



俺の言葉に、皆が恐る恐る武器を下ろす。

その緊迫した空気を、間の抜けた咀嚼音が破った。



「むしゃむしゃ……ん~? なんか騒がしいね~」



声の主を探すと、キュクロプスのフカフカした岩苔の膝の上に、一人の男の姿があった。

いや、人間ではない。半透明の身体を持った、ぽっちゃりとした太っちょの男精霊だ。

彼はキュクロプスの膝をベッド代わりに寝転がりながら、巨大なポテトチップスでも食べるかのように、魔力結晶をボリボリと齧っていた。



「……おや、ユーグじゃん。何百年ぶり~?」



そののんびりとした声に、エリスの杖からふわりと姿を現したユーグが、深くため息をついた。



『あーあ……兄さん、またサボってるの?』


「サボってないよ~。きゅーちゃん(キュクロプス)のお膝を温めてあげてるんだから~。ね~、きゅーちゃん」



太っちょの精霊――ドントが巨大な膝をポンポンと叩くと、キュクロプスが「グルル……」と喉を鳴らすように心地よさそうな音を立てた。

どうやら本当に、この二人は仲良しらしい。



「あの、あなたは……?」


「ん~? 僕はドント。この聖域のお世話係みたいなもんだよ~」



エリスの問いかけに、ドントが欠伸をしながら答えたその時だった。



トクトク……トクトク……!



俺が首から下げていたネックレスが、突然、脈打つように赤く明滅し始めた。

異次元インベントリから取り出し、お守り代わりに身につけていた『アイゼンのタグ』だ。



「おや?」



タグの光を見たドントが、目を丸くして身を起こした。



「その光……昔ここに来た、半分機械のお兄さんと、すっごく騒がしいお姉ちゃんが持ってた鍵と同じだ~」


「騒がしいお姉ちゃん……?」


「うん。きゅーちゃん、あのお姉ちゃんたちの『忘れ物』、見せてあげて~」



ドントがキュクロプスの巨大な膝を再びポンポンと叩くと、ガーディアンがゆっくりと単眼を瞬かせた。

その瞳から優しい光が放たれ、空間に立体映像ホログラムが投影された。



(ソフィア、この映像はなんだ?)


『マスター。これはロストテクノロジーを用いた、過去の映像と音声の記録データです。また、このタグと投影されている記録データのタイムスタンプには異常があります。千年前の赤き賢者と同時代の痕跡と、数十年前の痕跡が混在しています。通常のヒューマンの寿命ではあり得ません』



(……なるほどな。『半分機械のお兄さん』か)


アイゼンという男は、ロストテクノロジーを用いて自身の体を機械化し、長大な時を生き長らえていた。俺はソフィアの報告から、その隠された真実を静かに察知した。



『わはははっ! アイゼンの旦那、ここの術式古いから私が最新のに書き換えといたわよ!』

『馬鹿者! 基礎構造を理解せずに弄るな! また爆発させる気か!』



ホログラムに映し出されたのは、顔の半分が影に隠れたアイゼンと、若き日のアストリッドの姿だった。

呆れながらも、アストリッドに古代の知識や世界樹の構造を教え導くアイゼン。二人の間には、師弟のような、あるいは親子のような温かい空気が流れていた。



「お母さん……」



ルルとバリンが、息を呑んでその映像を見つめている。


やがて、映像が切り替わった。

そこに映るアストリッドは、先ほどの陽気な姿とは打って変わり、酷く深刻な表情を浮かべていた。



『このままじゃ、帝国の連中に地脈を掘り尽くされて世界が終わる! 止めに行かないと!』

『よせ、アストリッド。それはお前が一人で背負うことじゃない』

『でも、世界樹を守らないと、世界が終わっちゃうでしょ! 私が行くしかないの!』



バリンがかつて語っていた、「世界樹を守るために出奔した」という言葉の真実。

帝国の野望にいち早く気づき、彼女は誰にも頼らず、一人で立ち向かおうとしていたのだ。


そして、映像は最後の場面へと移り変わる。

少しだけ年を重ねたアストリッドが、大きくなった自分のお腹を、愛おしそうに撫でている姿だった。



『……ねえ、アイゼン。どんなに世界が壊れそうになっても……この子だけは、絶対に私が守ってみせるわ』



普段のガサツで騒がしい彼女からは想像もつかない、深く、慈愛に満ちた真面目な母親の表情。



『だって……この子は、私の、一番の傑作だからね』



映像は、そこでふっと途切れた。



「あ……う、うぅ……っ」



静寂に包まれた聖域に、小さな嗚咽が響いた。

ルルが、両手で顔を覆い、ボロボロと大粒の涙をこぼしていた。

自分を置いて姿を消した母。だが、そこには確かに、自分に向けられた、海よりも深い無償の愛情があったのだ。


俺は無言のまま、ルルの小さな頭を優しく撫でた。

バリンもまた、目頭を押さえて静かに肩を震わせている。



「……あのお姉ちゃんね、結界の『毛布』を掛け直しに来るって言ってたんだけどね~」



ホログラムが消えた後、ドントが申し訳なさそうに頭をかいた。



「きゅーちゃんも自分の熱でずっと頑張って結界を張ってるんだけど、流石に薄れてきて、寒くなってきちゃってさ……。君たち、代わりにお願いできないかな~?」



ドントののんびりとした、けれど切実な願い。

ルルが涙を拭い、しっかりと前を向いたのを見て、俺は隣の聖女に視線を向けた。


エリスは静かに頷き、一歩前へと進み出る。



「はい。アストリッド様が守りたかったこの世界を……私たちが繋ぎます」



エリスが『聖樹の枝杖』を掲げる。

杖に宿るユーグと、キュクロプスの膝に座るドントが、エリスの魔力に呼応して膨大な精霊の力を分け与えた。



「『聖盾アイギス』……全展開!」



エリスから放たれた眩い黄金の光が、地底湖と世界樹の根、そして巨大なキュクロプスをすっぽりと包み込む。

それは、絶対に外敵を寄せ付けない、優しく温かな絶対防御の結界。


黄金の毛布に包まれたキュクロプス――きゅーちゃんは、安心したように「グルル……」と喉を鳴らし、再び静かにその単眼を閉じて、深い眠りにつくのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


もし「面白い!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、 ブックマーク登録や、広告下の【☆☆☆☆☆】から評価ポイントを入れていただけると嬉しいです!


執筆の励みになります!

↓↓【☆☆☆☆☆】評価お願いします↓↓

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ