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『元世界ランク1位、異世界で【浮遊砲台】になる。~手足のないダルマに転生しましたが、FPS視点の「魔弾」でヘッドショット余裕です~』  作者: 暁月カケル
世界樹防衛編 ――星の楔(くさび)と、世界を巡る特使たち――

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残党狩りとデスボックス

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!



「……ゲームセットだ」



白煙を上げるアベンジャーを下ろし、俺は静かにボスの討伐を宣言した。


鉄機平原の中心。

かつて帝国の指揮官ガンツが乗っていた禍々しい異形のゴーレムは、俺の放った『黄金のゴールデンレイン』によって完全に蒸発し、そこには巨大なすり鉢状のクレーターだけがポッカリと口を開けていた。


圧倒的だったはずの指揮官が一瞬にして消滅したという悪夢のような光景。

それを目の当たりにした帝国軍の残党たちは、完全に戦意を喪失していた。



「ひ、ひぃぃぃっ! ガンツ様が……最新鋭の指揮官機が跡形もなく……!」


「ば、化け物だ! あんな赤い悪魔に勝てるわけがない! 退却! 全軍、直ちに退却しろぉぉっ!!」



生き残っていた小隊長らしき機体が、スピーカー越しに裏返った悲鳴を上げる。

その声を合図に、帝国の誇る機甲兵団は完全に統制を失い、我先にと背を向けて一斉に逃げ出し始めた。


分厚い黒鋼の装甲を纏った重ゴーレムたちが、土煙を上げながら必死に平原を駆け出していく。

その無様な後ろ姿を見送りながら、俺は操縦席でニヤリと不敵な笑みを浮かべた。



「さて……。FPSにおいて、勝確(勝ち確定)からの『残党狩り』は基本だからな」



俺の言葉に呼応するように、特種遊撃部隊の通信帯が賑やかになる。



『逃げる敵の背を撃つのは騎士道に反するが……我らが友の故郷を荒らそうとした落とし前、少しは払ってもらおうか!』



先陣を切ったのは、ヒルデの『ヴァルキリー・ストーン』だった。

脚部に組み込まれた『風の魔石』のホバー機構を全開にした超高速移動で、逃げ遅れた帝国軍の最後尾に一瞬で肉薄する。



「でぇぇぇいっ!!」



機体の勢いを完全に殺さず、ヒルデはヒヒイロカネのナックルによる強烈な回し蹴りを放った。

逃げる帝国機の脚部関節に直撃した蹴りは、装甲をへこませるだけでなく、内部の駆動系を『浸透龍牙破』の要領で完全に粉砕する。



「ぐわぁぁっ!? 足が、足が動かん!」


「ふん。命までは取らん、そこで大人しく寝ておれ!」



ヒルデは二機、三機と連続して蹴り飛ばし、敵の機体の手足を破壊し、ただの鉄塊に変えて動きを封じていく。

だが、蜘蛛の子を散らすように四方八方へ逃げていく数百の残党を、格闘戦だけで追いきれるわけがない。

ヒルデは十数機を仕留めたところでピタリと足を止め、機体の頭部にあるメインカメラで逃げゆく群れを見据えた。



『むぅ、流石にこの数を一つ一つ殴りに行くのは骨が折れるな。主どの、ルル! 後の掃除は任せたぞ!』


「おう、任せとけ! 逃げ回る的を撃つのは最高に楽しいからな!」



俺の隣で、ルルの『ヴァルカン・ストーン』が背中の巨大な工具アームを展開する。

そこに握られているのは、先ほども猛威を振るった特製の六連装アルケミー・グレネードランチャーだ。



『あはははっ! 帝国のお兄さんたち、降伏するなら今のうちだよー! それじゃ、お掃除開始ぃっ!!』



ルルが楽しげな声を上げながら、トリガーを引く。



シュポーン……どーーーんっ!!

シュポーン……どごぉぉぉんっ!!



間抜けな発射音と共に放たれた錬金爆弾が、逃げ惑う帝国軍の密集地帯に次々と着弾する。

狙いは機体のコックピットではなく、あくまで足元。

凄まじい爆風が地面をえぐり、その衝撃波で重装甲のゴーレムたちが次々とバランスを崩し、ドミノ倒しのように転がっていく。



「うわぁぁっ!? な、なんだこの爆発は! 魔法の着弾じゃないぞ!?」


「機体が起き上がれない! 助けてくれぇっ!」



ただの魔力弾とは違う、現代兵器特有の『爆風によるノックバック効果』。

それこそが、ルルの放つグレネードの真骨頂だった。



(ソフィア、敵の逃亡ルートと制圧状況は?)


『マスター。現在、敗走中の敵部隊の82%を包囲・無力化。ルル機による着弾座標の調整も完璧です。敵兵の生存率99・9%を維持しつつ、安全に制圧作業が進行しています』


(了解だ。キルログじゃなくて、ただのスタンログってわけか。なら、もう少し派手にやっても問題ないな)



脳内でソフィアの頼もしい報告を聞き終え、俺もダルマの外部武装を切り替える。

次元のインベントリから引きずり出したのは、ダルマの巨体に合わせた特大サイズの『RPG(対戦車擲弾発射器)』だ。



「命中精度は俺のエイム力に依存するが……この距離なら外しようがないな」



俺は『浮遊レピュテーション』のスキルで巨大なRPGをダルマの正面に固定し、逃げる敵機の脚部へと照準エイムを合わせた。

トリガーを引くと同時に、ロケットモーターが火を噴き、推進力を得た弾頭が一直線に空を裂く。



シュゴォォォォォォォッ……!!



ズバァァァァァァンッ!!!



着弾した瞬間、成形炸薬(HEAT)の理論を応用した魔力の超高熱ジェットが、帝国の黒鋼の装甲をいともたやすく貫通した。

関節部をピンポイントで撃ち抜かれた帝国機は、豪快に火花を散らしながら前のめりにすっ転び、大地に顔面から突っ込んで機能停止する。



「ひゃっはー! 師匠、ナイスショット! 私も負けないよー!」


「よーし、ルル! 向こうの右側に逃げてる小隊、まとめて吹き飛ばすぞ!」



俺とルルは、完全に童心に返ったようなハイテンションで、逃げ惑う帝国軍に次々と爆撃の雨を降らせていく。

大地が揺れ、土煙が上がり、帝国機が次々と宙を舞っては地面に転がる。

それはもはや戦闘ではなく、一方的でコミカルな『爆破祭り』の様相を呈していた。



その後方。

戦線から少し離れた安全な場所で、その光景を見守っていたエリスとミリーナは、呆れたような、それでいて微笑ましいような表情を浮かべていた。



『ふふっ……ポンタさん、なんだかすごく楽しそうですね』



エリスが『アイギス・ストーン』の大盾を下ろし、ホッと胸を撫で下ろしながら呟く。

彼女の性格上、背中を見せて逃げる敵に追い打ちをかけるような真似はできない。だからこそ、こうして安全な場所から見守ることに徹していた。



『ええ。私の耳にも、ポンタ様とルルさんのすごく無邪気で、弾むような心音が聞こえてきます。まるで新しいオモチャをもらった子供みたいですね』



ミリーナも『アルテミス・ストーン』の長弓を下ろし、イヤーマフに手を当てながらクスリと笑う。

前線から戻ってきたヒルデも二人に合流し、腕組みをしながら呆れ声を出した。



『まったく。あんなデタラメな爆発魔法を乱発して、平原の地形が変わってしまうのではないか? ……まあ、勝ったのだから良しとするか!』



ヒロインたち三人の和やかな会話をよそに、俺とルルの『フルボッコ爆破祭り』は、敵のゴーレムがすべて沈黙して白旗を上げるまで、容赦なく続けられたのだった。



◇ ◇ ◇



それから一時間後。

爆煙が晴れた鉄機平原には、無残に転がった数百機の帝国製ゴーレムの残骸と、煤まみれになってコックピットから這い出してきた帝国兵たちの姿があった。



「ひぃぃ……降伏だ! 降伏するから命だけは……っ!」



パンツ一丁のような情けない姿で手を上げる帝国兵たちを、アイアンホルムのドワーフ戦士たちが次々と拘束していく。

だが、ドワーフたちの本当の目的は、捕虜の確保ではなかった。



「おおおっ! 見ろ、この装甲板! まだ使えるぞ!」


「こっちの機体、魔力炉がほとんど無傷じゃねえか! おい、早くレンチとバーナーを持てこい! 分解するぞ!」


「帝国の最新技術、たっぷり研究させてもらうぜぇぇっ!!」



なんとドワーフの工兵たちは、拘束した兵士には目もくれず、機能停止した帝国のゴーレム群へと目を輝かせて群がっていったのだ。

装甲をひっぺがし、回路を引き抜き、使える部品を次々と回収していく。

その中心には、もちろんルルの姿もあった。



「バリン、こっちの通信機スゴイよ! 新しい周波数の魔石を使ってる!」


「でかしたルル! そいつは傷つけずに丸ごと引っこ抜け!」



歓喜の声を上げながら、最新鋭機をみるみるうちにバラバラのスクラップにしていく技術者ドワーフたち。

その凄まじい執念と手際の良さに、捕虜となった帝国兵たちは「俺たちの機体が……あんなハイエナのように……」と涙目で震えている。


俺はダルマのコックピットからその光景を見下ろし、思わず苦笑いをこぼした。



(完全に、FPSの『デスボックス(プレイヤーの死体箱)漁り』だな、あれは)



敵を倒した後、残されたアイテムボックスからレアな武器や弾薬をハイエナのように漁る、あのゲーマー特有の光景。

技術オタクのドワーフたちにとって、帝国の最新鋭機が転がるこの平原は、まさに宝の山なのだろう。



「おい、ポンタ! そろそろ引き上げるぞ!」



機体を降りたバリンが、大量の魔石を抱えながら俺に手を振る。

気がつけば、空はすっかり茜色に染まり、夕暮れが鉄機平原を包み込み始めていた。

戦利品の回収を終えたドワーフ軍が、意気揚々と陣形を組み直す。



「よし。みんな、怪我はないな? ……それじゃあ、帰るか」



俺の呼びかけに、四機の専用機に乗ったヒロインたちが力強く頷く。

俺たち『特種遊撃部隊』を先頭に、勝利を収めた大部隊が、アイアンホルムへと歩みを進めた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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