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ハンカチ
静かな自分の部屋
天井を仰いでいると
涙が頬をつたった
ごめんなさい
今だけ
今だけ
親さえ知らない涙は
ハンカチだけが知っていた
愛しさ寂しさ辛さ
言葉にできない気持ちが入り乱れ
雫として落ちた
もういやだ
助けて
助けて
誰にもわからない苦しみは
ハンカチだけがわかっていた
人に涙は見せたくない
人の涙は見たくない
ハンカチ濡れる
もう泣かないよ
でも泣きたいの
でも泣かないよ
ハンカチ握りしめた
強がる自分に
ハンカチが微笑んだ
ハンカチは黙ってうなずいた