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くーちゃんの冒険

作者: 与那城琥珀

最後までお読みいただけると幸いです。「転生したら魔王だったので悪役演じてみることにしました!」も読んでいただけると幸いです。

 赤い屋根の家の二階の一室でこんなことがありました。

 女の子が小さい頃から大事にしているくまのぬいぐるみがありました。そのぬいぐるみはクーちゃんと呼ばれていました。くーちゃんはベッドの上に置いてあったのですが、何かの拍子に落ちてしまったのです。くーちゃんが落ちた場所は開かれた本の上でした。その本がいきなり強い光を帯びたと思えば、くーちゃんは見慣れない世界に来てしまいました。

 光が収まり、ゆっくりと目を開けました。目の前に広がったのは煌びやかな部屋と可愛らしい女の子でした。

 あたりを見回すとどこかで見覚えのある世界です。確かこれは女の子が読んでくれた本で見たことがあります。どんなお話だったかはっきりと覚えているわけではないのですがいつも楽しそうに読み聞かせてくれていました。

 くーちゃんは女の子に抱えられ、どこかに向かっています。

 しばらくしてついた場所はお花のいっぱい咲いたとてもきれいな場所でした。女の子はサキと呼ばれています。それがこの子の名前なのでしょう。サキは一つ一つ丁寧にお花の名前を教えてくれました。バラ、ユリ、ポピー、シネリア、そのほかにも沢山のお花の名前を教えてもらいました。

 このように平和な日々を過ごしていたある時です。

 たまたま馬車に乗って出掛けていた時の事です。いきなり外が騒がしくなり、外で悲鳴が聞こえました。使用人の、お嬢様は出てこないでください!という声も聞こえました。

 しばらくして外が騒がしくなくなったので終わったと思ったのでしょうか?女の子が扉を開けました。扉を開けた瞬間使用人の女性に引っ張られました。出てきてはいけなかったようです。サキちゃんの腕を使用人が引っ張った時に、くーちゃんはサキちゃんの腕から落ちてしまいました。

 くーちゃんは地面に転がりました。その後は誰もいない暗い森の中で過ごしました。

 人気のない薄暗い森はとても怖くてくーちゃんは耐えられなくなりました。心の中で何度も何度もサキちゃんの名前を呼びました。怖くて怖くて仕方ないのにくーちゃんはぬいぐるみなので助けを呼ぶことも自分で動くこともできません。

 どれだけの時間が経ったでしょうか何度日が昇って日が落ちたか覚えていません。ずっと長い間そこにいたように感じられます。

 もうさきちゃんには会えないのかもしれない。そう思った時でした。サキちゃんがくーちゃんの方に向かって泣きながら走ってきます。

 さきちゃんがくーちゃんを強く抱きしめました。くーちゃんはずっと薄暗い森の中にいてとても怖かったのです。心が満たされていきます。

 またあの暖かい温もりに包まれることができてくーちゃんはとても幸せだ、そう思った時でした。

 また強い光に飲まれ、しばらくして目を開けるとあの開かれた本の上に戻ってきていました。前には泣いている女の子がいます。

 女の子はくーちゃんを見ると大きく目を見開いてどこにいってたの?と言い、くーちゃんをぎゅっと抱きしめました。そして最後にどこにもいかないで。と言い、またベッドの上に戻しました。

おしまい。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 無事に帰ってこられてよかったです。 本の内容が変わったりはしてないですよね。
[一言] 絵本の中の世界に取り込まれたぬいぐるみさん。 不思議なお話ですね。 興味深く読ませていただきました。
2022/12/24 11:04 退会済み
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