名も無き自衛官達の支え
空から見る海ほど美しいものは無い。朝焼けや夕焼けは驚くほど綺麗であるし、夜の星空も格別である。最も、任務中は景色を堪能している余裕は無い。長時間フライトしていても、見ているのは計器だけで、操縦者なら飛行に集中せねばならぬし、他の隊員も国籍不明艦艇がいないかどうか、細心の注意を払わなければならない。
基地に戻るまでは、心が休まる事は無い。それでも、この美しい海を守る為、彼等は任務にあたっている。そう思えるから、毎日飛び立って行けるのである。
もし、仮に戦争が起きたとしたら、彼等は真っ先に最前線に駆り出される。己の命を犠牲にする覚悟で、誰よりも早く死ぬ可能性もある。こうした感覚は、恐らく自衛官だけのものでは無く、世界の軍人も持つ共通の感覚である。民間人には分からない感覚でもある。
それは最早、仕事だからと割り切れるものではない。大きな使命感と覚悟があるからこそ、達する事の出来る境地である。とは言え、彼等自衛官や他国の軍人が特別な訳では無い。むしろどこにでもいるありふれた存在である。ましてや、殺戮を楽しむ戦闘マシーンでは無い。
出来れば戦争は起こって欲しくない。だが、有事の際には命令に従いどこにでも行き、どんな困難な任務でも、成功させなければならない。失敗即ち=死がある。だから戦争中は失敗は許されない。
そんなリスクがあっても彼等は戦う。自分の信じる正義と信念の為に。正義など所詮立場や思想に左右される脆いものであり、多様性なものであるが、それでも彼等が命をかけるのは、己の正義と信念の為である。戦う理由等そんなものだ。
特別な理由等無い。祖国を守る。特別何かをしたい訳では無い。それでも、目の前に映るこの国と国民を守る為、平時の今もハードな訓練を行っている。名も無き自衛官達の支えがあるからこそ、この国は存在し繁栄出来るのである。




