海上自衛隊哨戒機の大量配備理由
潜水艦ハンターとして腕をならしているP-3Cだが、そもそも対空戦闘能力は皆無である。本来ならば護衛に戦闘機を付けたい所だが、残念ながら日本国にはその様な戦力は無い。
P-3Cの主兵装は、対潜水艦ミサイルやソノブイにアズウォック等であり、とても対空兵器をつける余裕は無い。元々は民間旅客機であったP-3Cはスピードでも、戦闘機よりも優位に立てない。潜水艦には無類の強さを誇る哨戒機だが、対空戦闘となると、赤子同然である。
今回の事案は、日本政府の喉元にナイフを突き付けられた様なものであり、近くにある危機に対応せざるを得ない状況である。勿論、この程度の威嚇に臆する事は無いだろう。これまで通り海上自衛隊は世界最高クラスの哨戒機部隊を運用する筈だ。後継機の開発も日進月歩で行われている。
日本の対潜水艦部隊の唯一の弱点が対空戦闘であるのは理由がある。前提として、対潜水艦作戦中は敵機の来襲は無いと、勝手に推測しており、あくまで自分達の制空圏内であると仮定している。だが、本当の戦争でそのシュミレーション条件に当てはまるのかどうかは、不確定である。敵がそれを知り、日本の海上自衛隊の哨戒機部隊を狙い撃ちする可能性もゼロではない。
哨戒機部隊が無ければ、日本に僅か22隻しかない通常動力型潜水艦部隊で、日本の領海を守らねばならない。まぁ、実際そんな事は不可能だが。哨戒機の配備は日本の領海を守る為のものである。では何故日本には、これだけ突出した哨戒機部隊があるのかと言えば、米国が展開する東アジア全域における制海権を確保する為に必要なものでもある。
極東の日米同盟を維持する為だけではなく、米国の東アジア戦略上、最も重要である太平洋の制海権を保持する為にも、日本の海上自衛隊の哨戒機部隊は必要である。哨戒機の配備を大量に進めているのは、そんな理由があるのである。




