艦乗りの躾②
前頁より続き。
9、タラップは駆け足で(交互通行する場所は素早く通れ。)
10、外艦に手を出したりもたれ掛かるな(危険であると同時に艦の威容に関わる。)
11、編み上げ靴は禁物である(海中に落ちた時に直ぐに脱げず溺れてしまう為。)
12、艦内で口笛を吹くな(サイドパイプと間違える為。)
13、ポケットハンドするな(突起物に躓いて危険。同時に艦の威容に関わる。)
14、敷居を踏むな(防水扉の縁が擦れて有事の際に海水が漏れる。)
15、靴に裏金を張るな(鉄板と擦れて火花を撒き散らし引火の恐れがある為。)
16、真水の一滴は燃料と血の一滴(艦の中での真水は貴重品と言う事。)
17、多少の蓄え身だしなみ(自分の葬式代位は常に用意しておき、後願の憂いを無くせ。)
18、メモを手放すな(几帳面に記録し、同じ注意を二度受けるな。)
等、細かい躾が海上自衛隊にはあるが、いかんせん海上自衛官は艦船や航空機と言った特別な環境下で働いている。しかも、民間航空機とは違い、国家安全保障の為に国家予算つまりは血税で作られた、最新鋭の護衛艦や航空機に乗り組む事になる。その為には細かいかも知れないが、躾教育は必要である。
躾教育は部隊の練度や士気に直結するものである。日本の自衛隊は、陸海空問わず練度が高い事で有名だが、そうした練度や士気の高さは、こうした細かい躾教育の賜物であるかもしれない。
旧海軍以来の伝統として、シーマンシップはリファイン(磨かれ)されて、洗練されてきた。いくら最新鋭の装備を揃えても、それらを扱う人間の教養や士気が低くては、馬の耳に念仏・豚に真珠である。
島国である日本にとって、海と空は敵が侵入してくる主要ルートである。細かい躾が必要なのは、約4万2000人しかいない海上自衛官で日本の広い領海を守る為でもある。そうしないと海上自衛隊は成り立たない。人数が少ない事を理由に、現存部隊の気の緩みが生まれるのは言い訳でしかない。
少数精鋭と言う言葉がある様に、現存部隊の練度を上げてくれば、ある程度の実力の差は補える。海を守る為には、こうした細かい躾教育が必要なのである。




