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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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海上自衛官の3S

 海上自衛官はスマートであれ、と教育される。

 「スマートで、目先が利いて、几帳面。負けじ魂これぞ艦乗り」

 とか、乗組員の基本は3S即ち、スマート(迅速)、ステディ(確実)、サイレント(静粛)と言う具合である。

 艦艇勤務ではない海上自衛官にもこれ等の精神が適用される、と言われている。幹部候補生学校で船乗りの精神を叩き込まれた教官達が、何かにつけてスマートを強調する。ここで言うスマートとは見た目の事ではない。頭の回転が良く、動きが俊敏で、かつ無駄がない事であり、言い換えれば野暮ったくなく洗練されている事である。更に颯爽としていて、明朗でユーモアがある事も含まれている。

 逆を言えば、コテコテでボヤボヤ、モタモタしたり、ひ弱かったり、粋かったり、粗暴になったりする事等が一番教官をイラつかせる。では何故こんなにもスマートを強調するのかと言えば、それは海上勤務の特殊性に起因している。

 洋上は時刻々と変化する海との戦いでもあり、1分1秒の差で勝敗や明暗を分ける世界である。艦内や航空機の中は狭く板子1枚下は地獄の世界である。作業は勿論共同分業制。一人のミスが全員の命を危険にさらす。正に一蓮托生の世界なのである。

 従って、能力の一番劣る者に必然的に作業の進度を合わせざるを得ない。モタモタしている余裕などどこにもないのに。それだけで危険要因に成りかねない。艦の戦力は勿論低下する。その為、海上自衛官は、一人一人の無駄の無い効率的な動作を身に付ければ、全体のレベルアップに繋がるのである。

 だが、ただスマートなだけでは駄目である。事故を起こし怪我人や死人迄出しては元も子もないので、ステディ(確実性)もあらゆる作業で強調される。短時間で完璧を目指すと言う理想は持ちつつも、最初は確実が肝心と言う意味で、「理想は高く、実施は確実に」と、教わる。特に洋上における作業は、艦の動揺、滑りやすい甲板、狭い場所、強い風雨等の悪環境の中で重量物を扱う為、スマートでステディはどちらを優先する訳でもなく、常に同等の重みを持っている。

 幹部候補生学校や教育隊での生活は忙しい為無駄口を叩いている暇はない。無駄口は作業を非効率化させ、注意力が散漫になる。作業は黙って確実に、とサイレントも身を持って教わる。サイレント=「理屈の前に仕事」である。

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