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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六
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対中極秘作戦

 雅人は美良海将補の右腕である布良統治(ふらとうじ)一等海佐に呼ばれていた。布良一佐は、P-3C及びXP-1の部隊統括責任者であり、第5航空郡のNo.3である。雅人はミスをした自覚はなく、思い当たる節も無かった。何故休日に呼ばれたのか?さっばり分かっていなかった。

 「すまんな。休日に呼び立ててしまって。」

 布良一佐の勲章が沢山ある事に感動していると、下士官の隊員がお茶を持ってきた。

 「ごゆっくり。」

 何だか意味深な言い方で茶をぐい飲みすると、布良一佐が本題に入って来た。

 「最近、中国海軍が活動を活発化させているが、我が隊も黙っていてはいけないと思うのだが、君はどう思う?」

 「正直自分もそれは現場を見ていて感じます。警告だけでは中国海警局の船は、止まってくれません。」

 「一泡吹かせてやりたいとは思わんかね?まぁ、計画はしているが。」

 「それはつまり中国海軍とガチンコ勝負ってことですか?」

 「声が大きいよ!この計画には、海上自衛隊だけじゃなく、陸上自衛隊や航空自衛隊も参加する大規模なものだ。これは戦争ではない、あくまで集団的自衛権の行使だ。」

 布良一佐の言う事が本当だとしたら、とんでもないニュースである。自衛隊が集団的自衛権を意図的に行使するには、内閣の承認等、ステップをいくつも踏まねばならない。専守防衛の自衛隊にそんな事が可能なのか?そこを尋ねると、答えはあっさりしていた。

 「霞ヶ関からのオファーだ。既成事実の積み重ねだけで我々は簡単に武力を行使出来る事を示さねばならん。」

 詳細は不明だが、その先遣隊の航空護衛団の中に我が第5航空郡から桐生雅人一尉ら5人が選ばれ、P-3Cに乗り組むとのことであった。

 「桐生一尉。気負う事はない。いつも通りフライトしてくれれば良いから。」

 雅人は、部屋に戻ってからもその事ばかり考えていた。この休みは那覇の商店街をぶらり探索する予定だったのに、それは先伸ばしになりそうだ。これが冗談じゃないとしたら、とんでもない事である。ふと、TVをつけたがいつもと代わり映えしないニュースばかり。先輩に聞くわけにもいかず、後輩はいない。とりあえず誰に相談したら良いのかも分からず、眠りについた。

 翌日、起床した雅人に呼び出しがかかる。今度は美良海将補からの呼び出しであった。いよいよ秘密軍事作戦を中国に仕掛けるつもりだと思った。そう覚悟して朝食後に引き締まった顔で、第5航空郡司令室に向かった。

 「失礼します。」

 「来たな。その顔はどうやら覚悟が出来た様だな?」

 「はっ!(敬礼)」

極秘事項である為、口外無用。布良一佐の話は本物だった。Xデーも示されないまま、いつ呼び出されても、良い様に雅人はスクランブル体制を敷いていた。

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