秀逸なパイロット育成ノウハウ
空軍力と言うものは何も、戦闘機のスペックだけで決まるものではない。確かに戦闘機のスペックは重要なウェイトを占めるものであるが、それが全てではない。パイロットの熟練度やパイロットの総飛行時間と言うパイロットの質も大きなウェイトを占めるものである。
海軍航空部隊にも全く同じ事が言える。空母艦載機の能力がいかに優れていても、それを空母に離発着させる技術がなければ、空母はただの鉄の箱でしかない。パイロットの質は、庶民が思うより重要なのである。
それに加えてパイロットの養成には多額の費用と時間がかかる。一朝一夕にはパイロットは育たない。一説によると、航空自衛隊のF-15戦闘機のパイロットを一人前にするには総額約6億円かかると言われている。航空機のパイロットは飛行時間に比例して成長する為、この位の費用がかかるのは妥当と言える。
米国海軍航空部隊や米国空軍の凄い所は、恒久的に良質なパイロットを量産出来る様になっている、その育成ノウハウがある事である。日本の自衛隊も人事育成に関しては、定評があるのだが、米国海軍や空軍の戦闘機パイロット養成の能力は比べ物にならない。世界トップクラスのパイロット育成術が米国を米国たらしめている。機体とパイロットの両方が整い初めて戦力に成る。
どちらが欠けても一流にはなれない。最も、米軍も健軍当初から順風満帆であった訳では無い。それなりの失敗と犠牲を払い、事故や度重なる戦争によって膨大な数の機体とパイロットを損失している。無論、その犠牲が今の米軍を形成しているのは間違い無い。
拾うものあれば捨てるものあり。それが米軍を世界トップクラスの軍隊にしている。そう言う意味では、日本の自衛隊の出した犠牲者や機体の数等、月とスッポン位の差があると言える。犠牲が米軍の育成ノウハウの発達を促進したのである。




