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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六
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知られざる脅威

 沖縄と言う土地は歴史上、空白が生まれそうになると、必ず戦いの起きる所謂政争の都市とも言える。

 琉球王国が産声をあげた頃は古代中国の支配下にあった上に、明治維新で琉球王国が滅亡すると沖縄県として日本の支配下に入った。太平洋戦争で影響力を行使出来なかった頃には、米軍の上陸を許し日本の領土で行われた唯一の島となる。それからは、米国が沖縄を支配した。1972年に日本に返還されるまで、米国が我が物顔でアジア・太平洋地域における最重要拠点として、今尚、沖縄に駐留している。

 それが、沖縄県・日本政府・米国政府の三者の関係がギクシャクしている要因にもなっている。とは言え、日本政府にとっても米国政府にとっても沖縄県はギブアンドテイクの関係でやっていくと密約している。尚、沖縄に駐留する在日米軍は沖縄県の約4分の3の土地を使用しており、沖縄県は在日米軍の県外移転を日本政府に強く嘆願している。

 そんな沖縄にも海上自衛隊と航空自衛隊の基地があるのも不思議な話である。海上自衛隊第5航空郡(那覇)は、対中、対北朝鮮を意識してか、大きな規模の基地であった。XP-1(P-3Cの後継機)とP-3Cが合わせて20機も配備されているのは、第1、第2、第4航空郡を除いては、那覇基地しかない。

 P-3Cの役割は、前述の通り戦闘機とドッグファイトする事ではなく、海中に潜む敵潜水艦及び我が国領海を審判している艦船を見つけ監視する事である。その為スピードはそんなに要らない。雅人が身に付けなければならない技能は、他に乗っているクルーが不審船を発見しやすくする為に適切な高度とスピードを安定させる事である。そして、敵航空機及び不審船からの対空攻撃に気を付ける事であった。

 慣れるまでは、雅人はかなり怒られしごかれた。現状日本が戦争している国はない。しかし、雅人達自衛官は、非日常の戦闘状態の中にいる。そして、P-3Cがアスロック対潜水艦ミサイルや、ハープーン級空対艦ミサイルを発射するような事態が起これば、そこから戦争は始まってしまうのである。

 その緊張感が雅人を成長させていた。横須賀の海、呉の海では味わえない実戦と言うべき毎日が、雅人を真の海の防人へと変えていた。そして雅人は報道されない本物の脅威が日本近海にある事を知る。

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