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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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対潜水艦作戦用哨戒機

 P-3Cは、対潜水艦用の固定翼哨戒機として開発されたが、そもそも何故日本に大量の対潜水艦作戦用の航空機が必要なのかと言う事は、詳しく触れていなかった。

 現代戦における潜水艦と言うものは、海の忍者とも呼ばれ、大国のスタンダードは原子力動力の原子力潜水艦である。潜水艦はレーダーによる発見が難しく、核弾頭を搭載出来る原子力潜水艦を日本のディーゼル潜水艦でカバー出来ない。

 と、言う事で登場したのが対潜水艦作戦用哨戒機と言う訳である。元々は、P-3Cは民間航空機として開発された機体を軍事転用したものである。その為、機体のデザインは民間のジャンボジェットとそう変わらない。ミサイル技術の発達もあり、ようやっと空から潜水艦を監視警戒出来る様になった。

 憲法や自衛隊法の関係で、日本は原子力潜水艦を持つ事は出来ないが、これらの装備をスタンダードとしている国(ロシア、中国等)が周辺にいる以上は日本も策を講じる必要がある。周囲を海に囲まれた島国と言う特徴を持っている我が国領海を完全にカバーする為には、対潜水艦作戦用哨戒機の存在は欠かす事は出来ない。

 日本にはP-3Cを含む約150機の哨戒機を保有している。この数は米国に次ぐ規模の数であり、日本の対潜水艦作戦能力は、世界最高クラスといわれている。海上自衛隊の潜水艦は数こそ少ないが、クォリティーは高い。強固な潜水艦建造技術を持ちながら、自衛の範囲を超える数の潜水艦を日本は持てない。

 その穴を埋めるのが対潜水艦作戦用哨戒機なのである。日本の現状を考えると致し方ない。最も日本がこうなったのは、米国の影響もある。日本には米国海軍第7艦隊(母港横須賀)がいるが、第7艦隊は対潜水艦作戦能力だけが弱点である。それをおぎなう為に、日本の海上自衛隊に白羽の矢が立ったと言う経緯もあると言う一面を見逃す事は出来ない。

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