適性検査
進路をどうするか、と言う事は自衛官になる者にとっては、避けられない課題であると言える。やりたい事が明確ならば、進路は容易に決める事が可能だが、全員が全員進路を決めている訳ではない。
更に適性が不足しており、自衛官になっても希望の配置に着けない事は稀ではない。だから、進路を妥協する隊員はことさら多く珍しくはない。
肝心な事は、やりたい事がやれなかったとしても、与えられた環境で全力を尽くす事である。それが運命であり、天が定めたと割り切るしかない。神がいるのだとしたら、神はとても意地悪で冷酷である。
簡単に割り切る事は難しいが、進路に100%満足している隊員はほんの一握りの少数である。たとえ満足な進路に行けたとしても、思っていたものとは違うミスマッチが発生するのはざらにある。辛いとかキツイなど、なって見なければ分からない事はよくある事だ。逆に適性検査で決められた部隊で、楽しいとかやりがいを見出だす隊員は多い。
いずれにせよ、重要な事は自分に今与えられている任務に誇りを持って、どれだけ前向きに取り組めるか、と言う事である。そう言う意味では、雅人は、P-3Cの機長と言うポストは、非常にマッチしていたと言える。この配置でしか知り得ない良さを知れたし、何よりも大空を舞う感覚は、民間航空機パイロットでも味わえない特別なものである。
任務と言うものは、そもそも与えられるものである。与えられた任務を忠実にこなす事が自衛官の仕事である。それが必須のスキルである。最初は、乗り気がしないかもしれない。それでも経験を重ねる事で、やりがいや楽しみが見つかるものなのかもしれない。
本来、仕事や任務は苦しいものである。嫌な事をしてなんぼの世界である。汚れる事無く綺麗な手のままで生涯を終える人間など、この世にはいないと言っても過言ではないのである。




