哨戒機大量保有の理由
厚木基地は首都圏に近く、その上に防衛上必要な要素を多く満たしている基地であった。地理的には、東京にもアクセスが良く、ここに航空部隊ががあれば東京湾の防衛には、文句のつけようがない。それに加えて米軍基地もある為、戦力も申し分が無い。
首都東京に部隊を集中させない事で、一極集中の弊害を抑えるリスクマネージメントをしている。そうした観点から見て、厚木基地は最適な場所にある。無論、厚木基地だけが重要な基地で特別な場所ではない事は、言うに及ばずである。とは言え、全国各地に部隊が展開しているのは、日本を効率的に守る為であるが、それぞれの基地に地域色と言うものがある。
その土地の県民性や文化の違いが大きく影響すると言う。厚木基地にも色は当然ある。雅人が大切にしているのは、その色に慣れると言う事であった。これまでの経験が、雅人をそうさせた。
厚木基地の役割は東京湾及びその周辺海域の哨戒である。横須賀地方隊だけではカバーしきれない部分をカバーする役目もある。つまり、海上警備が主任務の横須賀地方隊を空から援護する形となる。東京湾まで敵艦或いは国籍不明艦の侵入を許した場合でも、最悪の事態を避ける為、パトロールを随時行っている。
と言うのも、潜水艦からの攻撃を守る為には、潜水艦を攻撃出来るP-3C等の哨戒機部隊しかいないからだ。航空自衛隊には対潜水艦能力が無い為、海上を空から防衛出来るのは、海上自衛隊航空部隊しかいない。日本近海に現れる国籍不明艦のほとんどが、中国やロシアに北朝鮮の潜水艦である事が多い。
そんな事情もあり、日本の海上自衛隊は対潜水艦哨戒機を大量保有している。それにより制海権を保っている。勿論、様々な要因が重なり日本の対潜水艦作戦能力は高くなっている。哨戒機部隊が無ければ、領海侵犯事案はもっと増えている事であろう。
