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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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備えあれば憂い無し

 雅人は厚木基地司令官の堀村時二海将の元に挨拶をしに来た。

 「失礼します。桐生雅人三等海佐であります。」

 「着任の報告は聞いている。御苦労、頑張ってくれよ。」

 「はい!」

 「詳しい事は君の上官である梅倉副司令官に聞いてくれ。連絡はしてある。」

 「よろしくお願いいたします。」

 堀村海将は随分さっぱりしていると言う印象を受けた。これまでの経験からすると、5分10分は語られたものだが、堀村海将は1分で挨拶を済ませた。人の上に立つ人間と言うのは、無駄を嫌うのだなと感動していた。

 それから雅人は上官である梅倉信吉一等海佐(厚木基地副司令官)からレクを受けた。流石に転勤は慣れっこだ。戸惑う様な事は何も無かった。

 「と言う訳で厚木基地はこんな基地だ。君の様な理解力のある人間ならば、直ぐに慣れるだろう。」

 「流石に厚木基地ともなると人材の宝庫ですね。」

 「基地によって実力差やカラーは異なるからな。」

 「自分はどの部署に配属なんでしょうか?」

 「君にはP-3Cの機長として第009飛行小隊で指揮を採って貰おうと考えている。君の噂は厚木基地にも届いている。大丈夫だよな?」

 「ええ。問題ありません。では、明日からよろしくお願いいたします。」

 「その前に009飛行小隊のメンバーに挨拶しておけ。明日から挨拶している時間は無い程忙しくなるからな。」

 飛行小隊とは言え、せいぜいが15人程のクルーしかいない。基本的には定期パトロールとスクランブルパトロール(緊急パトロール)の二種類があり、7~8人の2チームで一つの機体を回すのが厚木基地の哨戒部隊のやり方らしい。

 定期パトロールは20機ある哨戒機の内2機が出る事になっている為、頻度としてはスクランブルパトロールに比べればそこまで多くは無い。それでも不測の事態に備えて置く事は大切である。いつ何時敵が襲って来るかは分からない。

 雅人は言われるまでもなく、それを知っている。数々の戦いの中で、不測の事態にどれだけ遭遇したか分からない。雅人は、備えあれば憂いなしと言う言葉の、本当の意味を知っている数少ない自衛官の一人である。

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