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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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選ばれし者たち

 「この度、我々は米国海軍の原子力空母アームストロング・コンボイを護衛する大任を任された。皆も知っての通りこの空母は、日米韓連合艦隊の旗艦である。しっかり護衛して、この戦いを勝利に導こうではないか。」

 「皆、緊張してるかもしれないが、私が中国・ロシアと戦った経験から、こう結論付ける。我々海上自衛隊哨戒機部隊は高い練度の訓練を行っている。その為、訓練どうりにやっていれば、何も問題は無い。我々は世界で通用する訓練を行っている。胸を張れ!ミサイルで撃ち落とされる恐れも無いとは言い切れない。しかしながら、この任務で我々が任された意味を考えて欲しい。」

 「本来ならば、米国海軍の旗艦は米国が守るべき。しかしそれが、出来ないからこその白羽の矢な訳である。と言う事はだ。米国は同盟国日本を心の底から、信頼しているという事ではないだろうか?信頼の置けない部隊を連合艦隊の旗艦護衛に回したりはしない。我々はその信頼にこたえなければならない。この戦争の意味など後回しで構わない。それを審判するのは銃後の国民であり米国である。」

 「我々は、与えられた任務を確実にこなすだけである。自衛官である以上、我々は任務遂行の事だけ考えていれば良いのである。自衛隊とはそう言う組織だ。例え勝ち目の無い戦でも、出撃命令が出れば我々は出撃しなければならない。生きて帰れる保障はどこにもない。それでも国益の為ならば出撃せざるを得ない。死は恐怖である。その恐怖に打ち克つのは、己の精神力だけである。お前達は選ばれし者であり、この任務につける事を誇りに思って欲しい。この戦いを通して何を得るか、我々は試されている。」

 雅人はこの様な訓示を部下にした。聞き入る者も、涙する者もいた。しかし、これから我々はその涙さえ乾くような戦場に行かねばならない。そこにどんな困難が待ち受けていても、我々なら乗り越えて行ける。雅人はそれが言いたかったのかもしれない。いや、本当は雅人自身に向けた言葉だったのかもしれない。怯えている自身を奮い立たせる魔法の呪文の様に…。

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