米国海軍最大の原子力空母
日本国民は、対岸の火事としてあまり危機意識を持つ事は無かったが、現場の自衛官達は違った。自衛隊創設以来の陸海空各自衛隊と米軍・韓国軍による大規模戦闘なのであるから、それは致し方無いと思う。
この間の中国との武力衝突や、ロシアとのいざこざとはスケールが全く違う。その中で、最も経験が豊富なのは海上自衛隊であり、とりわけ雅人の所属する哨戒機部隊であったが、殺気立ってはおらず冷静であった。これも経験値があるからこそ成せる技とでも言えるだろうか…。
対北朝鮮軍作戦における海上自衛隊哨戒機部隊の役割は中国海軍やロシア海軍の潜水艦を無力化させる事であった。北朝鮮を事実上支配する中・露両海軍の潜水艦は真っ先に排除せねばならない脅威である。北朝鮮海軍はさしたる脅威では無い。つまり日米韓の3カ国で、黄海と日本海の制海権を抑える事が重要なのである。
制海権とは、米国海軍の理論的支柱となるアルフレッド・マハンが、米国海軍の大戦略として打ち出した概念である。制海権は第一に通商ルートの開発と確保。即ち商戦隊を完備する事であり、その安全を守る為に、海軍力が必要となる。もう一つ重要なのが、海洋力。これは安全な航海の為に、造船・造機の研究開発は元より、それぞれの島や大陸の沿岸がどういう地形なのか、海流はどの様に流れているか、港湾の状況を把握する事。
広義の制海権の定義はザッとこの様な感じになるが、狭義の意味の制海権を今は使う事になる。海軍力と海洋力により、戦いを有利に進める。ことさら、総合力では日米韓の方が北・中・露よりも上である。
哨戒機部隊の主な任務で、最も重要な任務は対潜水艦抑止力であるが、もう一つ大切な任務が雅人ら海上自衛隊哨戒機部隊には、付与されている。米国太平洋艦隊司令官ウィリアム・スプルーアンス大将が座乗する原子力空母「アームストロング・コンボイ」を護衛する事である。「アームストロング・コンボイ」は、日米韓連合艦隊の旗艦であり、世界最大の最新鋭原子力空母である。雅人の部隊は、対潜水艦ではなく、この「アームストロング・コンボイ」の護衛・哨戒にあたる事になった。
雅人はその大任を前にして10人の部下達に向けて訓示をていた。




