対北朝鮮最前線
本当の脅威が北朝鮮軍では無い事くらい、日・米・韓の3カ国は理解していた。何故なら北朝鮮を支えているのが中国だからである。中国の支援が無ければ、北朝鮮など、噛ませ犬にもならない。この戦いの焦点は、強大化した中国軍が本気で参戦するか否かにあった。
朝鮮事変(以後この戦いをそう呼ぶ)勃発から5日後、遂に中国共産党人民解放軍制服組トップの李春越陸軍大将は、朝鮮事変への介入を決定。これにより、日・米・韓VS北・中・露と言う世界の覇権争いの構図が出来上がった。
日本政府は、当初の8万人規模としていた自衛官の数を、米軍の要請で2万人増強して10万人とし、韓国軍70万人+米軍20万人計約100万人の大軍勢となった。在韓米軍の主力は陸軍だが、在日米軍の主力は海兵隊と海軍・空軍であった為に日本の参戦表明は、兵力のバランスを取る意味でも有効な事であった。
対する北・中・露軍であったが、北朝鮮軍約110万人、中国軍約30万人、露軍約25万人で、総兵力は日・米・韓の兵力を大きく上回る約165万人の兵力を揃えていた。ただ現代のハイブリット戦争において、兵器の能力や質の差で上回る日・米・韓の方がやや優勢であった。朝鮮半島は6つの国の約265万人が戦争をする事になった。
米国はまず、原子力空母2隻と強襲揚陸艦などで海兵隊を38度線付近の北朝鮮と韓国の国境線付近に投入して、在韓米軍と合流し突破口を見つける作戦であった。
海上自衛隊は、米国の原子力空母を護衛しつつ、朝鮮半島全体で哨戒作戦を展開すると共に、陸上自衛隊が最前線での後方支援を、航空自衛隊は中・露両軍の戦闘機を警戒飛行していた。それぞれが持ちうる長所を実戦でも活かし、日本国憲法に違反しない形で活動をするつもりだったが、これは海外への武力行使と言う明らかな違憲行為である、との野党からの批判は避けられない状勢であった。無論、自衛隊派遣を決めた日本政府には、きちんとした戦略があった。




