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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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ネイヴィーとマリーン

 米国海軍の歴史部が出した海軍史を読むと、「歴史上最も範とすべき外交を成し遂げた」と、ペリー提督に最上級の評価を与えている。

 それは何故か?ペリー提督は、日本の港を開港した事で、米国は大西洋からだけではなく、太平洋を自らの通商ルートとする安全性を確保出来る様になったからである。余談ついでに、ペリー提督の一族は海軍一家で、兄も米国海軍黎明期の英雄である。マシュー・ペリー提督自身は機関将校出身で米国海軍に、蒸気船を導入したのも彼の功績である。その蒸気船の威力をアピールする為に日本への遠征を行ったという説もある。日本への遠征にあたり、ペリー提督は日本の事を非常によく調べていた。何百冊と言う日本関係の書物を集めさせて、日本の風土や風俗、日本人の性格を研究した上で浦賀にやって来た。だから江戸幕府としては、手の内を読まれていたため、開国を避ける事が出来なかった。

 後年、ペリー提督の真似をしたのが、ダグラス・マッカーサー元帥率いるGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)である。しかも、ペリー提督は艦隊の司令長官室の奥にいて、滅多に表には出てこない事で、神秘的な権威を日本人に与えた。後に、米国海軍の理論的支柱となるアルフレッド・マハンが米国海軍の大戦略として、「制海権」と言う概念を打ち出す。そこで第一に論じられているのが、通商ルートの開発と確保。即ち商船隊を完備する事が必要である。その安全を守る為に海軍力が必要となる。そしてもう一つ重要なのが、海洋力である。これは、安全な航海の為に造船造機の研究開発はもとより、それぞれの島や大陸の沿岸がどういう地形なのか?海流はどう流れているのか、港湾の状況はどうかを把握する事。この通商、海軍力、海洋力の三原則をペリー提督は既にふまえていた。

 英国海軍を手本とした、日本海軍は「ネイヴィー」を標榜していたが、実状は日本近海の墨守と言う戦略的な目標からすると、「マリーン」の方が近く、プロシアをモデルとした中央集権国家と言う面から見ても「マリーン」の方が合っていたのかもしれないが、日本人には外洋志向の海洋国家に成りたいと言う野心があったのである。

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