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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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対潜哨戒機を大量保有する訳

 そもそも、日本が世界最高レベルの哨戒機を多数保有しているのは、きちんと理由がある。

 日本の地政学的特徴と日本の軍事力を取り巻く環境を考慮すると、それが浮き彫りになってくる。日本は周囲を海に囲まれた島国である。有史以来潜在的脅威は常に大陸から海を通してもたらされて来た。日本海軍と陸軍が進軍したのも、ただ単に大陸からの脅威に備える為のものであった事は言うまでもない。

 もう一つは日本国憲法により、名目上軍隊を持つ事が出来ずに、安全保障面で米国に大きく依存していると言う現実がある。自衛隊違憲論は自衛隊発足時から議論されてきた事であり、日本政府の立場は一貫して専守防衛の自衛隊は違憲ではないと言う立場をとっている。

 米国からの依頼もあり、日本の対潜哨戒機の大量配備が決まったのは、日本の国策にも合致していた。四方を海に囲まれた島国と言う事は、海中に潜む脅威にも対処せねばならない事を意味する。特に冷戦真っ直中の頃からソビエトの原子力潜水艦などは、領海侵犯を繰り返していた。とは言え、日本の限られた海上自衛力とりわけ潜水艦の力だけでは抑止力にならなかった。そこで白羽の矢がたったのがP-3C(オライオン)対潜哨戒機であった。

 哨戒機ならば、海上自衛隊の少ない隊員でも日本全土をカバーする事が可能である。潜水艦に乗るハードルよりは、哨戒機に乗るハードルは低い。現実に対潜哨戒機が配備されてからは、あからさまに領海侵犯の回数は減っている。無論、対潜能力と言うものは、その主力は潜水艦にあり哨戒機はその補助をするものである。

 だから日本の潜水艦は大したことが無いと判断するのは、尚早である。日本の潜水艦は数は少ないし原子力潜水艦はないが、日本の潜水艦は原子力潜水艦に勝るとも劣らない実力を持っている。力をつけてきた中国海軍やまだまだ侮れないロシア海軍等に比すれば、潜水艦の数は圧倒的に少ないが、それをカバーするのが、100機以上の対潜哨戒機である。これは最小限度の防衛力であり、行き過ぎたものではないと言える。

 日本の周辺環境を取り巻く環境が日々劇的に変わりつつある中での、オライオンなどの対潜哨戒機は、日本の安全保障上必要不可欠なのである。

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