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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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良き海軍軍人

 鹿屋での実質の司令官は江川海将補である。しかし、現場部隊の指揮官は雅人である。いつかそんな日が来るとは分かっていたが、命令を受けた以上は、きちんとやり遂げなければならない。

 そもそも幹部自衛官になると決めた時から、自分が司令官や部隊長に成る事を望んでいた訳で、嫌なはずはないのに、いざ成ってみると責任の重さを痛感した。いつかもっと階級が上がれば率いる部下の数はもっと増える。これはその前ぶれに過ぎない。これしきの事でうろたえている様では、情けない。

 鹿屋にいる海上自衛隊航空部隊の総勢は400人程で、そのうち哨戒機部隊員は150人程である。つまり、その150人が雅人の直属の部下と言う事になる。たった150人でも、無論雅人にとっては未知の領域である。部下を持つと言う事は、部下の命を預かると言う事であり、それはつまり部下の全てに責任を持つと言う事である。

 と、教育されているから、人の上に立つ事の準備は出来ている。年上の部下がほとんどだったが、ここは自衛隊。めんこの数より星の数。階級が全てである。オライオンのエースパイロットとしてならしたのも、今は昔。過去の栄光にばかり執着していては、向上心は無い。やることは変わったとしても、スタンスは変えない。仕事量は増えるが、それを出来ると判断されたからこその飛行隊長就任である。

 自衛隊だろうが民間会社だろうが、出来ない人間に出来ない事は任せない。それが非効率である事が明確であるからだ。出来そうな人間に信を置く。それが仕事と言うものだ。特に自衛隊の場合は一つの判断ミスが命取りに成りかねない。自然と上官の眼も厳しくなる。

 ただ、何でもかんでも自分でやろうとするのはNGである。部下の適性を見抜き、適材適所でやらせてやるのが理想の上官である。部下の誰も出来ない事は上官がやる。率先垂範して上官が動くと言うのは、帝国海軍以来の伝統である。

 と、雅人はそう言う風に教わっている。そして自分もまた、その伝統に忠実であろうとする。それ以外に良き海軍軍人の在り方を知らないからである。まぁ、そんなものは、現場で学びとる以外にに方法が無いと言う事を、皆肌で感じている。雅人も例外ではない。

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