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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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スコッティノフ中将の判断

 きっと、ガチンコでぶつかっていれば、大きな損害がでていたであろうし、ロシア海軍太平洋艦隊もただでは済まなかっただろう。それは、日米連合艦隊にも言えた事である。おびただしい数の被害が想定されていたであろうし、それは図上演習で分かっていた。

 ロシア海軍太平洋艦隊の優勢を作り出す事は、スコッティノフ中将には出来たである筈であり、ロシアの首相や大統領からは、日米連合艦隊を叩けと命令されていたのは間違いではない。にも関わらず、攻撃を加えなかったのは、恐らく現場の判断である。

 軍事裁判にかけられても、ここで日米に対して攻撃を加え、長期戦になった際のリスク回避の為の判断であった。そんな先見の明があったスコッティノフ中将は、軍人ではなく政治家になるべき人物だったのかもしれない。ただ、いくらスコッティノフ中将が攻撃中止を出しても、現場の人間が納得しない。不満も大いに分かる。それでも、スコッティノフ中将は、ここで日米と戦闘をする事で得る損害が、ロシアと言う国家に対する影響が尋常ならざるものである事を理解していた。次第に現場の人間にも、スコッティノフ中将の危機感を感じとったのか、事の重大性に気付く事になる。スコッティノフ中将は、言う。

 「恐らく、ここで一戦交えても笑うのは当事者ではない、第四の勢力である。日米とロシアの戦争で、少なくとも我が国の国益には1ミリもプラスにはならない。そして、それは日米連合艦隊にも言える。現場の判断を本国の人間は納得しないだろうが、そんな事はどうとでもなる。核戦争にも発展しかねないハイリスクな戦争を選ぶほどロシア海軍は愚かではない。低迷するロシアの復活は私の仕事ではない。これだけの艦隊を用いても、待っているのは、滅亡的な核戦争である。これ以上の威嚇は無意味である。我々は戦わない。領海侵犯もしない。私のここで戦わないと言う判断は、間違っていない。それは胸を張って言える。」

 スコッティノフ中将の判断を正しかったと、判断出来る迄には、ほんの少しのタイムラグが必要だった事は仕方がない。

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