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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六
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いきなり副機長

 「入れ。」

 「本日付けで第5航空集団所属になりました、桐生雅人一等海尉です。」

 「君に言う事は特に何も無い。職務に励んでくれたまえ。」

 美良海将補は見た目通りさっぱりした人物であった。雅人にとっては、こう言うタイプの人間こそ、様々な事を考えなくてはならない司令官に相応しいと思っていた。現代の様な戦争を知らない部隊の司令官としては、珍しい者であった。その人物に実力があるかないかと言う事は、一目見れば分かるものであり、日頃から口うるさくなるだけの人物は、はっきり言って非常時ほど力を発揮できない。

 横須賀にいた頃からの経験則によれば、雅人に良い上司を持てた事を意味していた。とは言え、美良海将補は、この航空部隊の首領(ドン)であり、実質的な雅人の上司は第5航空集団に配備されているP-3Cの機長、横尾久夫(よこおひさお)三等海佐である。自分の階級は結構高い事も知った。航空学生出身のエリートとは言え、脱落する者は脱落する。

 人間は自分の置かれた状況をクリアすると、何か優越感に浸ってしまいがちであるが、所詮それは井の中の蛙に過ぎないのである。それでもこの国の為に、使命をこなすため横尾三佐に怒られながらも、訓練に励む。雅人が配属されたP-3Cの乗組員は雅人を含めて9人である。

 横尾久夫三等海佐(機長)、桐生雅人一等海尉(副機長)、倉野二等海尉、相川三等海尉、後藤曹長、佐倉一等海曹、土野倉二等海曹、村沢三等海曹、大川士長、と言う顔触れであった。転属して間もないのに副機長とは驚いた。大川士長以外皆年上である。年下に命令されると言うのは、エリート教育の弊害なのかも知れないが、とは言えここは自衛隊。年功序列ではなく、星の数つまり階級が全てなのである。

 雅人は横尾機長に遠慮する事無く、思う様にやって良いと指示を受けていた。慣れないのは仕方無いながらも、指揮命令系統の関係で威厳を示さなくてはならない事も多々あった。そうした事に慣れて行くのも仕事の内であった。

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