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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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密漁者警戒シフト

 それからの任務は密漁者警戒の為のシフトが、組まれる様になった。万全の警戒体制で臨んではいたものの、中々ロシア人密漁者を見つけ出す事は出来なかった。

 どうやらこの密漁者達は、密漁をしてから直ぐに日本のEEZ(排他的経済水域)外の北に戻っている事は確認出来た。しかし、ここで問題点が一つ浮上する。気付いたのは、第511飛行隊のベテラン曹長、久能英彦(くのうひでひこ)であり、雅人に対して進言してきた。

 久能曹長の話によると、いくら現場を抑えても、海上保安庁に通報するのがやっとで、それ以上の事は出来ない。と言う事を進言した様である。つまり、どういう事かというと、海上自衛官には司法権がなく、領海進入して来る不審船には警告しか出来ないのである。通報して海上保安庁の船舶が到着するまでには、逃げられると言う訳である。例えそれがロシア海軍の艦艇でも…である。

 無論、攻撃をしてくれば応戦は出来るが、そんな馬鹿な事を密漁者達はしない。そういった事が度重なり、流石にこれを不味いと思っていた雅人は、現場で何かやれる事はないかと試案していた。もう少しだけ、警戒を続けた。そこで分かって来たのは、どうやら1隻や2隻の話ではなく、複数の船が多数の人間を日替わりで、漁をしていた。そして、その目的は漁ではなく、日本側の対応を見極める為に行っていると言う。

 つまり、その目的は漁ではなく、明ら様な挑発行為なのである。この挑発に対応する為に、早急な対応策が求められた。とは言え、現場判断ではこれ以上の事は出来なかった。その為、海幕(うえ)に持って行く事が最善と雅人は判断した。縦社会の自衛隊にとっては、階級が上位の者が全てを決める権限を持つ。これは、何も日本だけに限らず世界の軍隊共通のシステムである。

 軍隊と言うものを人類が構成する様になった以上、この上位下達のシステムは永久不滅である。ロシア不審船事案について、海幕(うえ)に報告する為、密漁者警戒シフトを解いて八戸の第2航空集団司令官、津軽沢流(つがるさわながれ)海将補の元へ向かった。

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