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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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二枚舌(ダブルスタンダード)

 日中双方がこれ以上の戦火の拡大を願っていた為、早急に講和を結ぶと共に、尖閣諸島を国際司法裁判所に共同提訴する形で、事態の決着を図る事になり、一応の収束を測る事になったのは、上出来だったのかも知れない。

 無論、しこりを残す事になってしまったのは、言うまでもないが、日本としては、世界最大の中国共産党人民解放軍を相手にしなくて済んだのであるから、ヨシとしなければならない状況であった。

 日中両政府が公式の場で和解していたにも関わらず、中国空軍の戦闘機に対するスクランブルは、減少するどころか増加の一途を辿っていた。この行動を中国軍の腹いせと見るか、挑発と見るのかは賛否が別れる所だが、尖閣諸島周辺地域は永遠に安息の日は訪れないとも、思えるものであった。

 日中全面戦争が避けられたのは、幸運な事かも知れないがそれは、一時しのぎ的な要素が強かったのかも知れない。日本人もこの一連の軍事衝突で、ようやく事の重大さに気付いた様であった。

 日米同盟があるからのほほんとしていられたのも今は昔の事で、こんな近くで危機があった事はカルチャーショックであった。ニュースで流れ出る炎上した中国海監の船舶に攻撃を加える自衛隊機の映像は、本当にドラスティックなものであった。日本側に犠牲者が出なかった事が尚更日本国民には衝撃的だったに違いない。中国海監と中国海軍の区別もろくに出来ない国民にとって、自衛隊が出動し、犠牲者が出たと言うだけでも、充分にショックであっただろう。

 平和ボケの荷を下ろすには、衝撃が強すぎたのかもしれない。作戦を行った防衛省・自衛隊は、一貫して攻撃は専守防衛の許容範囲内だったと、正当性を主張し、最後までそれを否定する事は無かった。日本政府も同じスタンスだったが、早期講和を結ぶ為には、多少の姿勢軟化が必要となるため、形骸的に主張を少し変えた。その件について、防衛省・自衛隊は表向きは黙殺したが、内心は反発していたに違いなかった。

 同盟国の米国もこれを支持したが、日本政府と同様に二枚舌(ダブルスタンダード)で、中国に対応した。勿論、国内外の諸事情を考慮した事は言うまでもない事である。

 さて、任務を終えた雅人は、直接防衛省(市ヶ谷)に報告に行く事になり、約4ヶ月ぶりに日本本土の地を踏む事になったのであった。

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