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かげろうのシーマン  作者: 佐久間五十六


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同期の村川敏夫

 雅人は作戦直前に貰った特別休暇の時に、厚木でP-3C乗りになった同期の大親友である村川敏夫二等海尉に連絡をとっていた。海上自衛隊幹部候補生学校の卒業遠路航海で、別れて以来初めて電話した二人には話す事が山の様にあった。

 「ああ、もしもし村川?雅人だけど元気か?」

 「どうしたんだよ急に。那覇に行ってから全く音沙汰無しで。」

 「色々やる事が貯まっててさ。で、どうよ厚木の方は慣れたか?」

 「慣れたよ。毎日乗ってりゃあ嫌でも覚えるだろう?」

 「やっていけそうか?」

 「まぁな。雅人の方はどうなんだよ?最近中国がやかましいみたいだけど?」

 「航空自衛隊のF-15みたいにスクランブルが毎日ある訳じゃないけど、それなりにやってる。」

 「でも厚木の時より大変だと思うが、どんなもんだ?」

 「実際事にあたっている当事者にしてみればどうって事はないよ。」

 「これは、上司から聞いた話なんだけど、中国に強硬するって。マジか?」

 「その事については、守秘義務があるから、話せないんだ。」

 「同期のよしみじゃねぇか、教えろよ?」

 「村川の上司の言ってるのは噂じゃない。とだけ言っておく。」

 「雅人、お前まさか作戦に参加するんじゃ?」

 「TVをつけてたらニュースにはなるかもな。」

 「何だよそれ?ったく昔からお前は分かりやすい奴だったよな。死ぬなよ。」

 「なぁに、江田島での日々に比べれば大した事はないさ。」

 「あれはきつかったな。江田島台風とか言って、部屋荒らされたり。何でこんなとこ来たか毎日思ってた。」

 「でも不思議と脱落者は出なかった。」

 「ああ、江田島マジックとでも言えるかな。」

 「小隊に配属されてからは、遊びだとマジで思っていた。」

 「本当そうだよな。操縦だけ気にしてりゃあ良いんだからな。」

 「海上自衛隊幹部候補生課程が一番自衛隊でキツイと言われるのもうなずけるな。」

 「ま、そのお陰で立派なオライオンに乗れている訳だがな。」

 「教官への憎しみが感謝に変わった事は言うまでもない。」

 「ま、全部学校から出た後の話なんだけどな。」

 「まぁ、軍隊なんてそんなもんさ。」

 「だけど、厚木と那覇じゃあ出動回数比べ物にならんだろ?」

 「そりゃあそうさ。直ぐ西には台湾、北に行けば尖閣諸島だからな。」

 「そういやぁ、雅人の方が階級一つ上だったな。本来なら敬語で話すべきなのだが。」

 「おい、つまらん話をするな。貴様と俺は同期だろ?」

 「ああ。そうだ。」

 二人の話はまだ終わらない様だ。

 

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