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二、巫女白玉

身長としては、大体男性陣は成長すると180前後くらいです。

女性陣は基本として160前後。一部小柄と書かれている人たちは145-155くらい。

 淑やかで控えめ、いつもひっそり微笑んでいる物静かな娘というのが白玉に対する海一族一般の認識である。しかし、一族の中でも更に身近な兄弟達はその評価を不当とは思わないまでも、完全に彼女を表現しているとは言いかねると気付いていた。恐らく現在の海一族での最強無敵は白玉であると言っても、碧玉をはじめとする兄弟達は深く肯くだけだろう。数年もすれば紅玉もそれに加わるかも知れない。

 碧玉は早めに都を離れて海邑へ戻るまでの旅について、白玉の、穏やかだが真綿で首を締めるような誘導尋問に引っ掛かって喋らされる羽目に陥っていた。翠玉、青玉、黄玉は勿論、紅玉までも目を輝かせ碧玉の話を今か今かと身を乗り出して待ち構えている。

「山の民の村へ行ってきた。武挙を受けた際に決勝で俺と争った奴とすっかり馬があってな。そいつがそこの出身だと聞いて、興味があると言ったらじゃあ来ないかということになったんだ」

 碧玉は多弁ではないが、小さな黄玉にも判りやすいよう、なるべく難しくない言葉を選んで弟妹達に話してやっている。白玉はお茶のお代わりを沸かし始めていた。

「そこの村に暫く居ただけなんで、土産話も何もない。一旦都に戻る予定だったんだが、途中で道が塞がっているところがあってな。結局時間もなくなったし、却って遠回りになるからとそのまま帰ってきちまった。お前達が折角送ってくれた手紙を読めなくて悪かった」

 碧玉の話に一番先に折れてくれたのは青玉である。

「いいよ、大哥、許してあげる。だからその村のお話もっと聞かせて」

 一瞬救われた気分になっていた碧玉は、薮をつついて蛇を追い出していたことに気付いた。

「村の話って言ってもなぁ。大したことは…」

「ふーん、そうなんだぁ。じゃあご飯はどんなのを食べたの? そこの人たちはどんな服を着てたの? どんなお顔をしてた? ねぇ、教えてよ。大哥」

「おしえて~」

 黄玉が面白がって便乗し、二人は意図せずして輪唱している。碧玉は流石に弱りきった。冒険しすぎて小さな子供には話しにくいことをしてきたなどと言えば、白玉に何を言われるか判らない。悪所通いをしていた訳ではないが、誤解されるとその後が面倒だった。しかしここで「お前達と同じような子供で…」などと言えば火に油、自分達も見たいから連れて行けとせがまれるのは火を見るより明らかだった。そろそろ覚悟を決めないと拙い様だな、と思いつつ上目遣いに白玉を見遣ると涼しい顔でお茶を淹れている。

「さあ、お茶のお代わりが入ったわ。大哥はお忙しくて大変だったんだから、少しお休みさせてあげましょうね。それより、黄玉が出来るようになったことをお話したら? きっと喜んで下さるわよ」

 はにかむような、それでいて誇らしげな笑顔で黄玉がほんの少し胸を張った。

「あのね、おれね。さかあがりが出来るようになったの」

 碧玉は目を瞬かせて、深く微笑んだ。

「すごいな。もうさかあがりが出来るようになったのか。俺達が黄玉くらいの頃には全然出来なかったぞ。えらいな」

 大きな手で黄玉の頭を撫でると、はしゃいで碧玉の膝に乗っかった。

「うお。重くなったな。大きくなった。きっとお前は俺よりでかくなるぞ」

 笑いが居間の広い天井に木霊して、明るい雰囲気が漂っていた。一応ながらも助け舟を出してくれた白玉に、後で説明をしなければなるまいなと思いつつ、碧玉は心の中で首を竦めた。



 久々の故郷の自室でゆっくり出来たのは、夜も更けてからだった。弟たちがはしゃいでなかなか碧玉を解放してくれなかったからである。武挙の為に半年程この邑を離れていたし、その間に様々な出来事もあった。部屋の灯を消して寝台に横になると、考え事をする間もなく眠りに落ちていった。

因みに、将来海黄玉は長兄碧玉より長身になります。

割と碧玉はがっちり系。

この一族の子は男女とも文武両道を目指してそこそこ鍛えるので、ひょろい子はいません。

華奢とか、男性でも裁縫上手とか、女性で致命的に家事全般が壊滅的という人は居ますが、一族内で相互扶助しつつ生活していく感じです。

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