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王城での新生活

 王城に住み始めてから、半年がたった。


 勉強で一番ありがたかったのは、字が書けるようになったことだよね。私、この国の文字は知らなかったから。


 前世の知識から、識字の重要さはよく分かってたから、とにかくそこは重点的に勉強した。

 おかげで今ではほぼ自由に、本が読めるようになってる。先生にも驚かれたよ。


 今の私、頭の出来も相当いいみたいなんだ。一度目を通したら大体覚えられる。集中力は自信あるしね。本を読めば読むだけ知識が増えてくから、もう楽しくてしょうがない。

 ヤンチャを卒業して学問にでも生きるかね!


 で、預言者と大預言者の違いも今は理解してる。


 本来この国の預言者というのは、イエス・ノーの二択の正答率が100パーなら、それでもう十分優秀なんだとか。


 大預言者とは、選択肢の数が二つとは限らない。運命の分岐点ごとに、パターン別の未来を映像付きで予知できる。

 これ、私、確かに大預言者の方だわ。


 そもそも神なんて全く信じてない私が預言者ってのも、なんか変な感じだけどね。意味的には予言者だもんね。

 慣習的な呼び名なのかな?


 大預言者が確認されたのは、歴史上では、600年前に初代国王の建国を支えたガラテア、300年前復活しかけたドラゴンを再び封印したデメトリアの二人だけ。


 私は史上三人目。まさに300年に一人の大天才だ!

 恋愛禁止、華美なおしゃれも控えろ、って時点で、嬉しくはないけどね! HAHAHA!!


 実は内心、こっそり彼氏作ればいいやとか思ってたんだけど、それってどうもムリっぽい。


 預言者を汚した相手は、国家的財産を毀損したとして、男女問わず国家反逆罪で極刑に処されるんだって。しかも預言者自身はお咎めなし。


 それ、なんて針のムシロっ!? 分かってて、手え出せないでしょ!? 私が殺すみたいじゃん!

 まったくとんだ極悪非道な悪法だよ!!


 とにかくこれで、ホントに私のオールドミス人生は確定しました……。


 ……おしゃれと恋愛以外の生きがいを探そう。


 最近たまに、コーネリアスとアイザックの勉強会に放り込まれることがある。

 これが、今のところ一番の楽しみ。

 今日も三人、同じ机を囲んで、同じ家庭教師に勉強を教わっている。


 ふふふ、まったく、悪い大人たちだよねえ。

 ついこの前まで字も読めなかった浮浪児上がりに、あっという間に追い抜かれちゃったんだよ。スーパーエリート君たちとしては、発奮しないわけにはいかないもんねえ。

 どれ、私も一つ協力してあげようか。


「先生、課題が終わりました。あと、この教科書はもう記憶したので、別のものをお願いします」


 読み書きはともかく、算数や自然科学に関しては前世の義務教育貯金があるんだけど、それ以上に重要なのは、迷信にとらわれない現代的で合理的な思考法なんだと思う。スポーツバカとはいえ、現代日本で育ったからね。それがあるから理解も早い。

 でもきっと彼らには驚異的な成長に見えるだろうね。まあ私も、分かって煽ってるわけだけども。


 あ、先生、苦笑してる。気が付いてるね。


「分かりました。ではお二人が終わるまで、こちらを読んでいてください」


 先生からもう一段上のレベルの教科書を渡される。


「ザカライアはすごいねえ。僕、まだ半分だよ。頑張らないと」


 未来の王様、コーネリアスが、わあーと感心してくれる。赤毛君のほう。この子は癒し系。醸し出す空気感からして柔らかい。人格も安定していて穏やか、視野も広い。きっと調整型の賢君になるね。モルモットみたいに真っ赤な瞳で、分からない問題があれば、私にも素直に訊いてくる。


「先生、私も終わりました!」


 水色髪の未来の宰相アイザックが、食い気味に主張する。こっちは頑なな意地っ張り。カトーさんが心配してた意味がよく分かる。わずか6歳にして、とにかく真面目な堅物で、私みたいな型にはまらないテキトーなタイプは、気に入らない様子。なのに私が想定外に優秀なものだから、余計ムキになって張り合ってくる。面白くてついからかっちゃうよ。

 負けん気が強いのは悪くない。競争大好き、元トップアスリートのお墨付きだよ!

 

 どっちも可愛いね。お姉さんが(タチの)悪い遊び、いっぱい教えてあげるからね!

 

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