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学園生活

 結論からいうと、私の学園生活は想定以上に順調だった。


 やっぱり、ギディオンとパーティーを組んだのは、お互いにメリットが大きかった。まあ、計算ど~~~りっ!! ってとこだけど。


 ギディオンは王国の東の草原地帯を領地(狩場)に持つ、イングラム公爵家の跡取り。物心つく前から魔物をバリバリ狩ってるから、強さの桁が違う。しかも意外にも馬鹿じゃないタイプの体育会系だった。

 初対面の私をあっさり仲間として受け入れたのも、10年以上の戦闘経験からくるカンがあったかららしい。見るからに戦闘タイプじゃない一見普通の女の子から、尋常ならざる気配を感じたそうだ。

 実際、「魔物より油断できないと思った」と、面と向かって言われた。野生の獣並みだな。君も預言者かい?


 私たち二人組パーティーの特色と特に噛み合ったのは、夏の森林サバイバル。全学年参加、バルフォア学園誇る夏の一大イベントだ。


 王都から少し離れた広大な森林の中、ランダムに設置された数ヶ所のチェックポイントを通過しゴールを目指す。

 それだけなら前世でもよくあったオリエンテーリングだよね。ただし、この森林には、大小様々の魔物が放たれている。罠があったり宝が隠されていたり、ワクワクドキドキイベントも目白押し。ちょっとしたダンジョン体験が満喫できる催しとなる。


 各グループには必ず一人、審判兼護衛の教師や、雇われた冒険者が距離を置いて張り付いている。

 あ、そういえばこの世界、冒険者いたの! 今まで縁がなかったからよく知らなかったけど、合法的な何でも屋って感じかな。

 バルフォア学園の恒例行事だから、この時期には護衛任務に強い冒険者がスケジュールを空けて待ってるらしい。


 つまり、参加学生の安全は一応保証される。ただし手助けを受けるごとに減点され、下位グループは地獄の補習を受ける羽目になる。


 このイベントにおいて、私は予言者の力を自重せず駆使し倒した。邪魔なだけの低ポイント魔物や罠は完璧に避けつつ最短距離でチェックポイントを回り、かつ宝を余すことなく確実にゲットしつつ、高ポイントの強力な魔物だけをあえて目指す。ギディオンはそれを確実に撃破する。


 そうやって私たちパーティーは、バルフォア学園史上、最短時間最高得点での優勝を果たした。


 新入生歓迎バトルロイヤルの時にすでに派手に注目されていた『大預言者と次期公爵コンビ』は、ここで完全にその実力を周知させたわけだ。


 純粋培養の脳筋だった私が、まさか頭脳担当ポジションにジョブチェンジするとは……人間、何が起こるか分からないというか……。頑張ればちゃんと成長するものだね。実に感慨深い。


 目立ったおかげで、学園物のお約束の生徒会とかにも勧誘されたけど、そういうメンドくさいのはパス。そんな雑用係などやらなくても、私が学園の中枢に立つことは難しくないのだ!


 何しろ、必殺のスキルがあるからね。


 卒業後は国家の舵取りに参画する大預言者様からの個人的な予言が受けられるのは、人生でこの3年間だけ!

 それは、人が群がりますよ! ハハハハハ、私大人気だね!!


生徒A(16歳、男性)

Q・次の魔道・武道勝ち抜き戦で、せめて1回戦くらいは勝ちたい。

A・正々堂々とやりたいなら、対風魔法を磨くべし。裏ワザとして、明日の放課後、体育倉庫裏へ行くべし。対戦相手となるケイン・バースの弱味を握れる。


生徒B(15歳、女性)

Q・アダムス先生のテストで点数が足りず、進級が危うい。

A・カミラ先生に助力を頼むべし。惚れた相手に話の分かる教師像を見せるべく、補講や再テスト等、救済措置が実施される。


生徒C(17歳、男性)

Q・あの娘に告白したい。

A・やめとけ。


教師A(42歳、男性)

Q・最近生徒Cがひどく落ち込んで、勉学が手に付かない状態だ。

A・今週いっぱいまで。来週次の恋を見つける。別の意味で勉学に手が付かなくなるだろう。


教師B(26歳、女性)

Q・女子の着替え(下着含む)が盗難被害にあっているようだ。

A・犯人は3年2組のケイン・バース。先月あなたのも……。

Q・あいつかあぁぁぁぁぁぁっ!!!?


 こういった具合に、生徒教師問わず学園中の人間の相談に乗ると同時に、弱味を掴んでいった結果、前世の古い漫画で言うところの裏番のような立場になっていた。


 フハハハハ、学園を密かに操る影の支配者とは、私のことだよ!!

 誰も私にはかなうまい!!

 逆らうやつには、必殺の不吉予言炸裂だ! 私と関係ないところで、地獄に落ちるがよい!


 私の支配体制は1年の間に着々と整い、翌年入学したアイザックを愕然とさせることになる。


 ――もう、手遅れだよ。

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