その18
先行していたものより、若干エロ度をあげました(笑)
◇
強制的にアクセスを切られて、山之上舞花は車に酔ったような不快感を伴いながら目を開けた。シンクロギアを外そうと手を動かそうとしたら、背中の後ろで何かに固定されて動かないことが判った。口を開こうとしたけど、口も何かで塞がれているようだ。辛うじてシンクロギアのアイ部分・・・細い隙間を覗くような感じだけど、それでも外が見えるだけましかと思った。
「おっ、気がついたようだぜ」
聞き覚えの無い男の声。誰だろうと思いながら声をした方を向こうとしたら、いきなり髪を掴まれて引っ張られて、顔が上向いた。
「うっ・・・」
山之上の口からくぐもった声が漏れた。口を開けないから仕方がないのだけど。
「おい。USBをどこに隠した。今回の連載小説のVR化のデータだよ。お前が持っているんだろう」
そんなものは知らないと首を振ったら「嘘をつくな!」と耳元で怒鳴られた。
「やはりこの中にはないぞ」
もう一人の声がした。
「このバックの中にもなかったぞ」
また新しい人物の声がした。
(ということはこいつら3人に捕まったのね。しくったな~。あちらを気にして、こういう場合を考えていなかったわ)
山之上は眉を寄せて考えた。本当は唇を噛みたかったが、口を塞がれているので、そんなことは出来ない。どうにかしないとまずいよなと思っていたら、何かが体に触れてきた。それは腰のあたりのポケットを探っているようだ。上着のポケットに手を突っ込んでいるのだろう。
「おい、何をしてんだよ」
「どっかに隠し持っているかもしれないだろう」
「それもそうだな。USBならその胸の谷間とか下着の中に隠せるよな」
ニヤニヤという笑いが聞こえてきそうな声で男の1人が言った。身体を触る手が増えて、山之上は身を捩って逃れようとしたけど、如何せん拘束をされている身には逃れるすべはなかった。胸ポケットを探るついでに胸の感触を楽しんでいるのか、探しているのとは違う動きをさせている。
「んっ・・・んんっ」
山之上は抗議の声を上げたかったが、(多分)ガムテープでふさがれて言葉にならない。それをどう取ったのか、男の1人が耳元で囁くように言った。
「なんだ、こんな状況なのに触られて感じているのかよ」
違うと伝えたくて山之上は首を振ったけど、それをまた曲解した男がまた囁くように言った。
「安心しろよ。目的のものを見つけたら、ちゃんと可愛がってやるからよ」
胸元で手が動いているのがわかった。手の位置がだんだんお腹の方へと下がっていく。シャツのボタンを外されたのか胸元に冷やされた空気が当たった。
「胸でけぇよな」
男の指が胸の谷間に入り込もうとした時、声が響いた。
「ちょっと~、あなた達~。何をなさっているのかしら~」
男の手の動きが止まったが、聞こえたのが女の声でそちらを向いて口笛を吹いた。
「なになになに~。お姉さんもボンキュッボンだねえ~。こっちのお姉さんの身体検査が終わったら可愛がってあげるよ」
卑下た笑い付きで私のそばにいる男が言った。男の手が山之上の胸をわし掴む。
「んんっ」
山之上は呻き声をだした。その時女の不機嫌そうな声が響いた。
「あら~、私を可愛がろうだなんて~、100万年早いわよ~。顔を整形してから出直してきなさ~い」
「ああ~、なんだとう~。少しくらい綺麗な顔をしているからってな、女が男に勝てるわけねえんだよ」
男の手が胸から離れて気配が動くのがわかったけど、如何せん拘束をされていて視界もほぼ奪われた状態の山之上にはなすすべはなかった。
バキッ ドカッ ゴン
音から推測しなくても殴られたりぶつけられたリしているのだろう。
パンパンと、手を払う音が響いて、誰かがそばに来た。口を塞いでいたものが取り払われシンクロギアも外されて、山之上の目の前に最近よく見る顔が迫っていた。目が合うとニッコリとその人は笑った。
「危なかったわね~、舞花さん」
「桂さん」
男も言っていたが山之上を助けたのは女でも見惚れる美女だった。某作品の峰不〇子もかくや、というメリハリのあるボディーライン。山之上は胸はそれなりにたわわだが、ウエストは少し・・・。骨太の家系ということもあり、体の厚みが他の女性より2割増しな気がしているのが、ひそかな悩みだったりするのだ。
鼻が触れそうな距離に顔があり、山之上は眉を寄せた。
「近いんだけど」
「あら~、ごめんなさ~い」
全然悪いと思っていない顔で言われて、少し顔を離した美女のことを山之上は睨んだ。それをどこ吹く風とばかりに美女はクスクスと笑っていた。
「一応礼は言っておくわ。助けてくれてありがとう」
「一応なのね~」
山之上の言葉に美女はおかしそうに微笑んだ。
「それからこの拘束も解いてくれないかな。動けないんだけど」
「そうねぇ~。中々いい眺めよねぇ~」
視線をボタンが外れて覗いている胸元に向けながら、殊更ニッコリと美女は微笑んだのだった。