その1
まあ~、何も言わずに読んでみてくんなまし!
◇
ここはある所にある、ある部屋。薄暗い部屋の中ではいくつものパソコンが動いていた。だけど部屋の中にいるのはただ一人。
その人物は目の前のパソコンを操作していて、あるものを見つけた。
「うむむ~。これは・・・」
その人物は腕を組むと少し考えこんだ。そして何かを思いつくとキーボードを叩きだした。
◇
ここはリジイラにあるファコム辺境伯の屋敷の厨房だ。そこで昼の片づけを終えたリクは、午前に届いた手紙を取り出した。
「なんだ~?」
リクは手紙を開けて内容を読み、不審に思うままに声を上げた。
「どうしたの? なんか変なことでも書いてあるの?」
ちょうど厨房に顔を出したカレンが、リクの声を聞きつけて訊いてきた。リクは厳つい顔をしかめたままカレンの方を見た。
カレンはリクが持つ手紙を見つめた。それがリクに変な声を上げさせたのだろう。だけど人の所に来た手紙を見せてというのは違うだろうと、言葉だけに留めてリクのことを見ていた。
リクは手に持った手紙をカレンに差し出した。読めということだと思ってカレンは受け取って読んでみた。
「え~? 何なの~、これ?」
読んだカレンも素っ頓狂な声を上げた。困惑したようにリクのことを見つめてきた。リクも困惑しているのだろう。眉間にしわを寄せて、凶悪な顔をしている。
「だろ。どうしたもんかと思ってな」
「え~、胡散臭いし断ればいいんじゃないの?」
困惑しているのがわかる声でリクは言い、考えるまでもないとカレンは答えた。それに対してリクは手紙の下の方を指さした。
「だけどな、報酬が良いんだ」
その言葉にカレンも手紙の下に書かれた言葉を読んだ。
「まあ~、本当だわ。・・・でも、怪しいよね」
眉を寄せたカレンは伺うようにリクのことを見つめてきた。この報酬なら3人くらいの治療費になるだろう。ここ、リジイラにはもともと医者がいない。今はユーパンドラがいるから医者にかかること自体は困らない。だけど、ユーパンドラもいつまでここに居られるのかは、わかっていないのだ。それに薬は高い。
(金を稼ぐのに頭を悩ましていたが、これだけあれば当座は凌げるだろう)
腕を組んで考えていたリクは息を吐き出した。結局、怪しいことは怪しいが、自分の特技を生かせることでもあるから、やってみようかという気になってきたのだ。
「カレン、便箋と封筒を用意してくんねえか」
「引き受けるの」
「どちらにしろ、返事は書かないといけねえだろ」
「それもそうね」
カレンは厨房を出ると便箋と封筒を取りに、エリナがいる執務室へと向かった。それを見送ったリクはもう一度手紙に視線を向けた。ざっと読み直すと独り言ちた。
「まあ、なるようにしかならねえだろ」
◇
「えー、どうしよっかな~♪」
弾んだ声で長岡更紗は言った。顔は真剣な表情だが、声はそれを裏切っていた。手に持った手紙をもう一度読み直す。仕事の依頼の手紙だった。
「うふふっ。私を指名してくれるだなんて、なんて見る目があるのかしら~♪」
そう言うと、長岡更紗は便箋を取り出してさらさらと返事を書いた。
「これで、よし!」
書き上げると封筒を取り出して畳んだ便箋を入れた。表書きを書いて、ついでにいつもの仕事道具を掴むとニンマリと笑った。
「善は急げっていうよね~♪」
そう言って部屋に鍵をかうと出掛けて行ったのだった。
◇
数日後、ニブラの中央広場にある掲示板に、ある張り紙がだされた。
それは・・・。
>告知
リクのお料理教室♡開催決定
開催日:□月△日 午後1時から
申し込み期限:〇月×日
募集人数10人~30人まで
最小人数に達しなかった場合は開催いたしません。
お申し込みはニブラ町役場 役人 海水 まで
と、いうものだった。
その横には講師をする男性のイラストを描いたものがあった。
可愛らしいクマが描かれたエプロンを着けた、ムキムキマッチョの男性のイラスト。
なぜだろう。
どう見てもそのイラストはシャツを身に着けずに、そのままエプロンを着けているようにしか見えない・・・。
それに男の顔はお世辞にも美男子とは言えないものだった。というより、厳つくて普通の人は関わりたくないと思ってしまうことだろう。
なので、そのイラストを見て、ほとんどの人は顔をしかめて通り過ぎていった。
だけど、数人の人物がその告知を立ち止まって見ていたのだった。
とうとう投稿しちゃったよ。
先に言っておくよん。
苦情は受けつけないからね。
そのために、先に活動報告で先行掲載していたのだから!
これから、追いかけて一気に・・・は、無理だからほどほどの速度で投稿します!
みんな~!
よ・ろ・し・く!
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それから「リクのお料理教室♡開催決定」のイラストは、長岡更紗様の「なろうFA集とかどうでしょう」の中の<海水さんの『野菜将軍と赤いトマト』より再び>にて、公開中です。