義弟に運ばれて空を駆けて行く
「魔法が使えるってすごいことなのね…」
「まぁ、まずお金を稼ぐのには困んないね。」
ソファに優雅に座るローレンスはにべもなく言ってのけた。
そもそも未来にいけるなんて…会社経営なんかしなくたってギャンブルで生きていけるじゃないか。サリーの考えを読んだのか否か、ローレンスはサリーの手を取り真剣な眼差しで言う。
「自分で稼いだお金で家族を養いたいんだ。」
「わお男前」
サリーは冷めた目で返し、スッとローレンスの手から逃れた。
ていうか、そこは男らしいんだね。ん?“そこは”?いや、強引にキスしたり、許嫁の座を奪い取ったりよく考えたらローレンスは男らしいのかもしれない。
うーん、どうしても義弟イメージがとれないからか、男を感じにくいな。
「義弟なんて思えないくらいスゴイことしようか?」
「ヒィイ!やめて!あと思考読むな!」
ゾワワと悪寒が走る。
どうしよう、私はこれと結婚するのか?!いいのか?いいのかそれで!!
育ってきた環境が違うから価値観とかもわからないし、好きな食べ物すらしらない相手!でもよく知ってるっちゃ知ってる相手ってなんなのよ!!
「ねえ、」
「え?」
「余計な事考えないでさ、」
「うん?」
「僕のこと、好きになってよ。」
ぎゅうっと抱きしめられる。
あざとく真剣な表情のローレンスに思わず固まって反応がおくれてしまった。しかし今も抵抗は出来ないでいる。なぜだ。
もう、なんなの、くそ可愛いな、あざといってわかってるのに…。
「くそ、いっそ魔法で操ってくれりゃいいのに…」
「僕が欲しいのは、お人形じゃないから…」
「耳元で囁くのやめてぇええ!!」
今までリア充爆発しろとか言ってたけど今は逆だ、誰か私たちを爆破してくれ!!と切実に願う私だった。