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あの子が欲しい、あの子がわからん







「お前の義弟…?なんかでかくね…?」




うん。でかいね。

そしてエバンよ、残念ながら彼は私たちより年上だよ。説明がめんどいから「思いのほか老けた」と伝えたけどね、実年齢が年上なんだ。




「サリー、この人だあれ?」




にっこり、でも目が笑っていない義弟はやってきたエバンに早速睨みを利かせていた。





「うん、だからね、言ったよね?両親にも確認したけどローレンスが私の許嫁だかなんだかだったのは、ローレンスが消えちゃう前のお話でね?ここルール的には村社会じゃん?だからね、後釜?ていうのかな、つまり、えーっと、紹介しまーす、“今の”許嫁のエバンくんでーす。」

「どーもー昔何回も会ったことあるのに覚えられてはいないけど“今の”許嫁のエバンでーす。」



いぇーい、と2人冷めたテンションでお送りしてみたけどもう空気的にはブリザードですよ。

ねぇ笑って?と言いたくなるほど冷たい表情のローレンス。

いや、だってねえ?10年行方不明の人と許嫁なわけないじゃない?ていうか、そもそも知らなかったけどね?




さっさと帰ってこないのが悪いんじゃん?都会の絵の具に染まりきるまで連絡ないのも悪いんじゃん?

それにこの村社会からの卒業なんてする気もなかったしね?

こちとら行儀よく真面目にやってたのよ。

学校でも自主的に窓拭いて回るくらいには素行も良かったし。評判の村娘に許嫁つかないわけないよね!自分でいうのもなんだけどね!



「つうかよー、それよりうちの妹が昨日からお前みて惚れちまって結婚したくて騒いでっから妹と婚約してやってくんね?ぴっちぴちでまだ誰とも許嫁じゃねえからさ。」




エバンが気まずそうに言う。

いや、内容は大分図々しいけどね。

ていうか、あのシスコンのエバンが!そんなことを言うとは…あの妹ちゃんがそんなにセンチメンタルジャーニー(?)だったとは、これは事件だ…と思っているのにあれなんだろ、ブリザードがやまない。寒いなー。あれ、本当に降ってる?あ、幻覚じゃなかったのか。

ていうかこれローレンスの仕業よね?やめなさい?おねえちゃん寒いの嫌いなの知ってるでしょ?怖くてそんなこと言えないけどね、やめてほしいなー…なんて。




にこやかに寒いままのローレンスがようやく動いた。

つかつかとエバンの前に歩み寄りそっと耳打ちをする。

エバンの顔は赤くなったと思えば一瞬で青く…いや、白くなった。




「お、お、俺、ちょっとじっちゃんのとこ行ってくるわ…俺はお前の許嫁なんかじゃないから、な!!大丈夫、俺はお前の許嫁なんかじゃない!!」

「え?あ、エバン!どしたの!?」



顔は白いまま、ザッと身を翻し走り去るエバン。じっちゃんとはこの辺を取りまとめている貴族出身のおじいちゃんだ。

この辺りは村ってわけじゃないが村社会的なローカルルールがなんとなくあってそれをじっちゃんの家がまとめてくれている。

今の流れからいえばおそらくエバンは許嫁をなきものにしてくるのだろう。

ローレンス、なんだ、その天使のようや顔でなんの黒魔術を使ったんだ。




怪訝な顔でローレンスを見るが彼は先ほどのブリザードが嘘のように輝かしい笑顔でサリーを見つめていた。





「これで、僕がサリーの許嫁、だね?」





ジーザス…













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