笑顔と苦しみ
「また、苦しんでる…。」
私、橘 まりかは人には決して言えない秘密を持っている。
それは、人が苦しんでいる姿が見える事。
他の人には、分からないと思う。
左目で見ると、笑顔で笑っているのに、右目で見ると苦しんでいるんだ。
いつから、こんな風になったんだろう…?と考えた。
考えていたら、私の大切な人が出てきた。
彼の名は、中島 星夜。
私が悲しんでいると、いつも話を聞いてくれた。
どんな時でも、嫌な顔一つせず慰めてくれた。
私の家は、他の人からは普通に見えるだろう。
だけど、それは人の前だけ。
家の中では、ひどい母親。
私の趣味にまで、口を出される。
そんな生活に嫌気がさしていた頃に、星夜に出会った。
彼にだけ家の事を話せた。
理由なんて、分からない。
そんな彼は、今はいなくなってしまった。
最後に会った日、『家の事情で、引っ越す事になった。』と言っていた。
その頃から、私はおかしくなったんだと思う。
幻覚だと分かっているのに、治らない。
いつになったら、治るのかな…と目の前の景色を見て思っていた。