優しい人ほど怒ると怖いって言わない?
下ネタ的要素注意
ほかの人のステータスが分からなかった為、自分のステータスが高いのか低いのか分からなかったが、大剣を背負った12歳程の少女を抱えて全力疾走出来るくらいはあるようだ。
「はぁ、はぁァ、疲れた、平気か?」
何も言わず抱えてきてしまったエリシアに問いかける
「だ、大丈夫です」
顔が赤い様だ、熱でもあるかもしれないと言ったら平気だと怒られた。
逃げてきた流れで街の出口近くまで来たのでそのまま街の外へレベル上げをしに行くつもりだ。
過程に少し狂いがあったが、レベル上げは当初の目的通りだ。
以前利用した出口とは違う出口の様だ、風景諸々違う。
そして暫く草原を歩きながらスライムやイノシシの様な魔物そして稀に蜂等を狩り続けた。
その経験値で残っていた耐久強化を取得、レベルも上げた。
エリシアは重い大剣を、重量を減らす魔法、重力操作系とか言っていた、それを使い振り回していた
重量操作で飛び上がり、落ちる時は重力を強くして切りつける等、器用な事をしていた。
そんなこんなで
世界が赤く染まり、夕日が爛々と輝いていた。
「そろそろ暗くなるし帰るか」
「はい、分かりました帰りましょ」
エリシアも昨日より打ち解けてくれた感がある、嬉しい限りだ
「それじゃあ行くぞ」
すっと、従姉妹と遊んでいる時と同じ感覚で手を繋いでいた。
エリシアを見ると、夕日で分かりづらいが、顔を赤らめているようだ。
「ん?嫌か?嫌なら離すが」
「い、いいえ、そんなことは無いです」
なら良かった、嫌われてたら嫌だからな。
そのまま気味悪い位にモンスターに遭わなかった。運が良かったのか、はたまた何かの前兆なのか、少し俺は怖かった。
宿屋へ着いてすぐ寝た。
不安を覚えながらも、街の外へ向かった。いつもと違い、ほかの街へと伸びる街道を歩き平原奥にある森へと向かっていた、正直に言うと怖い、だから人が1人でも歩いていればと街道側を通ったのだが逆効果だった様だ、人っ子1人、魔物1匹すら居ない。
風で木々が揺れ、だがそれも気味が悪かった。
昔から俺の悪い予感はよく当たる、由香里からも言われた事がある。
小学生の頃、悪い予感がし、その日の夕方、由香里がジャングルジムから落ち腕の骨にヒビが入った。落雷が学校裏手大木に落ち危うく火事になりそうだった。例を上げれば大きい事から小さい事まで数え切れないだろう。
その感覚が今回もある、不安を掻き立てるのには充分だった。
「ひゃい」
エリシアが素っ頓狂な声を上げた、
俺が無意識にエリシアの手を握ってしまっていた事が原因の様だ、そこまで怖がってんのか俺。
「カズマ」
エリシアに名前を呼ばれる
「平気ですよ、私達なかなか良いコンビじゃないですか、何かあってもどうにかなりますって」
初めのうちは遠慮したような口調だったが、打ち解けてくれたのか今では気遣うような一言をハッキリ言ってくれて助かった。
優しく微笑みかけてくれる、一言ありがとうと言い、街道を歩き続けた。
黒い雲が沸き立ち、今にでも雨が降り出しそうな、暗い天気になってしまった。風は強く、ヒュゥゥと鳴る風の音がまた恐怖を煽る。
エリシアに励まされてばかりでは行けない、俺の方が年上からしっかりしなければ。そう言えば年齢を聞いていなかったな。しかし女性に年齢を尋ねるのもな……
「カズマどうかしましたか?」
そんな事を考えていたら自然とエリシアの事を見つめてしまっていたらしい。
「いやぁ…べつ、っ!!」
エリシアの手を引き咄嗟に体を後ろに引くことで突如目の前の森から飛来した、何かを辛うじて避けた。
「いったい?」
森…木々の間を凝視する。
人だ、人が弓に矢をつがえてこちらに向かって構える、明確に相手の獲物が俺達だと分かる。
「エリシア!取り敢えずアイツを捕らえて事情を吐かせるぞ」
「はい!」
一斉に駆け出す、狙いを定めにくくするため出来るだけ複雑に動き、その上で相手に速く近づけるようにする為には、
「身体強化敏捷」
その一言で体に力が入り加速する。
幸い相手は2人、それも弓では弾幕なんてものは張れない為、ジグザクに走るだけで当たらない、相手が弓の素人かも知れないと頭によぎったが、確信はなく警戒するに越したことは無かった。
少し遅れるようにして付いてきているエリシアは、大剣を横に構え盾のようにして突撃していた。
相手まではもう少し
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男は混乱していた、自身の中で誇れる物、弓の才があたかも幻であったかの様に、矢が一つも当たらないのである。そして余計に混乱させる要因があった。
「身体強化であんな速度馬鹿けてるっ!」
そう、有り得ないのだ普通は。
身体強化は本来Lv 何て物は存在せず
本人のステータスを基準に能力を1.5倍する物である。
身体強化の上位魔法もあるが、冒険者になりたてと"聞いていた"そんな素人が使える魔法では無いハズだ。
それに隣の女、身体強化無しであの速度に付いてきてやがる。
目前に迫った2人を狙い弓をつがえながら襲撃者は思う
化け物か…
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襲撃者、で良いのかコイツらの眼前まで駆け抜けてきた。
アビリティ維持スロットに現在身体強化敏捷が当てはまっていてコイツらを殴ろうと筋力強化に替えようと思っても、仕様なのか変更されるまでにラグ、と言うか間がある。アビリティ維持スロットの説明にあった上昇率アップというのはかなり有能な様で実際なら1.5倍程度しか上昇しない物が、スロットの影響で3倍まで上昇している(計測済み)それを使えば倒すのも楽なのだ。
今回の場合かなりの速度で駆けてきたので、その勢いを利用してやれば筋力強化が無くともかなりの威力が出るはずだ。
そのまま渾身のグーパンを襲撃者1に叩き込む。
襲撃者は吹っ飛ばされ木にぶつかり地に伏せた、エリシアにそっちはどうだと聞こうと振り向こうとした瞬間。
背中に悪寒を感じた。
咄嗟に右に跳ぶ、先程までいた場所を見ると、振り下ろされた片手剣が地面に刺さっていた。
「ちっ、避けなきゃ楽に死ねてたのによぉ」
そう吐き捨てた男、見覚えがある
ギルドで喧嘩を打ってきたヤンキーだ。
エリシアがこっちへ向かおうとするも、俺とエリシアの間にヤンキーと思わしき男が割り込んできた。
ヤンキー組が3人、倒れてる弓襲撃者が2人……
圧倒的に不利な人数である、逃げるという選択肢もあるがエリシアの方が速度が遅い、この世界の基準が分からないが最悪ヤンキーに二人とも捕まってしまう。
ならば戦うしかないのか……
緊張を破るようにヤンキーが喋り始めた。
「よくも大事な大事なマイボールを潰そうとしてくれたなぁ?あ"ぁん?」
それで恨んでんのか、小さい奴め潰れたわけでもあるまいに
「いっその事潰れた方が将来お前みたいなヤツが少なくなるんじゃないか?俺はその方が嬉しいね」
「大事な大事な子種だぞぉ?俺様みたいな強い冒険者の子が居ない方が良いだぁ?」
こいつ自分で強いだの頭大丈夫かよ
俺の金的を避けられないくせに
「そうだなぁ…そこのお前の連れの女にも、子種を植え付けてやるかぁ?お前の目の前でなぁ!」
下卑た笑い声表情、気に食わない。反吐が出る。あぁ、いっそ殺してしまいたい位だ。
「手心なんて加えない、徹底的殺してやるぞ、ゴミクズ野郎が!」
杖に手をかけ、構える、杖の頭、太い方付近を持ち、細い方を相手に向け
一瞬の出来事だった、強化された速度から生み出された突きは、例え先が尖って居なかったとしても
人体を貫くだけの力があった。
「ぐ、っう、あぁぁ何…が」
腹部に杖が刺さったままでヤンキーが仰向けで倒れる。
「何がって、俺がお前を刺したそれだけだろう?"強い冒険者"さん?」
「俺がやられても、あとの2人が…」
その時背後から爆音が聞こえ、男性の断末魔が聞こえる。
「あとの2人?今転がってきたコイツらの事か?なぁ?」
ヤンキーの顔がどんどん青ざめてくる。その表情には最早戦意など無かった。
だが、それとこれとは別だ、エリシアに害をなそうとした、だから
腹に刺さっていた杖を抜き、杖の先をヤンキーの顔へ向け
「死んだら?」
持てる限りの力で突き刺そうとした。
その時
「ダメーーーー」
背中に抱きつかれている感触があり、それを証明するように細い腕が俺のお腹の前に回っていた。
「ダメです!私の為に怒ってくれたのは嬉しいですが、優しいカズマさんがここまでやる事はありませんよ!!」
その一言で冷静になった、だがその一言には誤りがある
「ありがとう、でも俺は大切な人を害そうとする物に情け容赦なんて出来ない、そういう人間だ、今までもこれからも」
"過去にあんな事"が無ければここまで曲がらなかったろう、そう自分でも思ってしまう。
「でも、エリシアの頼みだし今回はヤンキー達を見逃す事にするか」
未だにヤンキーに向けていた杖を下ろす。
「思ってたような優しい人じゃなくて幻滅した?」
そう、聞いてみる、過去にも同じような事をして同じように離れていってしまったから。怖かっただけど聞かねばならないと思った。
「いいえ、寧ろ嬉しかったですよ、充分優しいじゃないですか、それに、た、大切な人なんて、ふふ」
嫌われる、と思っていたが寧ろ喜ばれた様だった
そんな会話を他所に、大きな闇は奴らを喰らうのを今か今かと待ちわびながら、2人を見続けていた…
後半の展開グダりましたかねぇ、多少手直しも視野に入れてます




