初めての人助け
沸き立つ煙の元、複数のモンスターに囲まれた人がいた。
少女………いや幼女か、この際どうだっていい。目の前で窮地に陥っている子供を見捨てるような人間には育ってないのだから。
「スキル、筋力強化」
呟く、すると力が湧いたような、そんな不思議な感覚に襲われる。
駆け出す、駆け降りる、目指すは少女の元。
「テメェぇぇらぁぁぁぁぁぁ!!」
走りながら大声を上げモンスターの気を引く。少女も驚いた顔でこちらを見ているが、置いておこう、まずは少女を逃がすかこのモンスター達を倒すか、それだけを考える。
蜂のような魔物2
ゴブリン?1
スライム 1
スライム1体だけで一時間掛かったのを考えると4体はキツい、しかし時間稼ぎ位ならば出来ないことはないはずだ。
走ってきた勢いをそのまま乗せた杖でゴブリンの頭を思いっきり殴りつける。
ゴキリ
とゴブリンの頭部から嫌な音が鳴った。ゴブリンは地面に倒れ、そのまま身動きをする事は無かった。
筋力強化のお陰なのか、スライムと相性が悪かっただけなのか、さっぱり分からないが次は蜂を狙う。
力任せに振った杖はヒラリと躱され体制が立て直せていない振り切った直後を狙い蜂の尾刺が迫る。体を捻り回避するが、足りずか擦り傷程度だが攻撃を貰ってしまった。
蜂のモンスターは毒ありそうやばない?やばない?
まぁ、そんな事思えているうちはまだ平気だ。
「あ〜お嬢さん?逃げなよ」
驚いたままの顔でこちらを見ている少女に呼びかける。
すると少女がハッとした表情をし
「それじゃお兄さん死んじゃいます!ゴブリンは不意討ちで倒せてたけど私より弱そうなお兄さんじゃ無理です」
「こら!弱そうとか言うな、ガラスのハートにヒビが入る」
「お兄さんも結晶心を…」
「ん?けっしょうしん?何じゃそら」
いかんいかん、話し合いしている場合じゃない、ていうかよく蜂ども待ってたな
まずは蜂機動力を封じなければ。
「おじょ…めんどくせおい少女!」
「な、なんですか!」
「蜂の動き止めるスキルとか無ぇか!?」
「ある、分にはあります…発動までに60秒かかりますが…」
「平気だ、そのスキル発動するまで俺が抑える」
飛んできたスライムを振りかぶり吹っ飛ばす、吹っ飛んだスライムが蜂の横を掠めて落ちた。当たれば良かったんだが。
なお、俺は小学生の時野球クラブに属していたしかし2年
そんな事はさておき、刺しに来た蜂の攻撃を避け、カウンターを叩き込もうとするが、もう1匹の蜂、またはスライムに邪魔され攻撃する隙もない、戦闘技術があっても後ろの少女を襲わない分割とアホなのだろう。
と、思うとこの連携実に完璧である事が不思議
「野生の直感恐るべしっ!」
振った杖は空を切る
「まだか!?」
「えぇ、もう平気です!いけます」
発動のキーとなる呪文を唱える
「縛れ、縛れ、拘束せよデモンズチェーン」
一体一体ピンポイントとかでは無い、辺りを埋める鎖の海を見た。
ガキンッ!
鎖がピンと張り、鎖の波に飲まれた蜂達の姿が見える。
ギルィィィィ と聞いたこともない叫びを上げているが怖いから触れないでおく。
鎖へ駆け出し、鎖から露出している頭部を筋力強化の掛かった腕力任せに杖を振る。
グシャ
うわぐろい、それよりもう一体!そしてもう一体も頭部を潰されて絶命した。
残るはスライム、なのだが、柔軟な体を使って鎖から抜け、逃げ出したようだ。
なんか黒く光ってる部分があるなぁ…あんなのついてたか?まぁいいか。
となるとこれで安心か?
戦闘音聞きつけたモンスターが来たりとかしても厄介だ。
後ろから声が聞こえる
「あっ、えっと……助けてくれてありがとうございます」
「おう、とりあえずあれだ、近くの街まで送ってやるよ、話すんなら街ついてからなー」
少女を連れてとりあえず街に帰る
もう疲れたからなぁ。
そうそう、パーティとかも考えないと。明日は街での事に没頭だ。




