テンプレ異世界召喚
「んじゃまたな〜」
その日の大学での授業が終わり、何時ものように、何時ものメンツと別れ、早々と帰路に着いた、特に用は無かったのだが、金曜という日は1週間の疲れが出るため早く帰って休みたかったのだ。
「あれ、一真?」
後ろから名前を呼ばれて振り向いた。
南城由香里、小学生からの付き合いで高校を卒業し、互いに違う進路へ行っても、たまに家に来て世話をしてくれたりする、感覚的には同年代だがしっかり者のため、姉の様な存在だ。
この日はたまたま出先で俺を見つけたので話しかけてきた、という訳だった。
他愛もない会話をしながら歩く。
「昔に比べて私の料理ってどう?」
「今じゃ、料亭の料理位の腕じゃないか、昔は味噌汁を炭化させてたのにな」
「料亭は褒めすぎよ、そんなにおだてても何も出ないからね」
「おだててる、なんてつもりは無いって、俺は由香里の作る味噌汁好きだぜ、もう母さんの味噌汁より飲みなれた味だな」
「じゃ、じゃあさ、明日味噌汁作りに行ってあげるわよ…?」
「ん、ありがとな、毎度毎度悪いな」
そんな会話をしているともう由香里の家の前だ。
「じゃあまた明日な」
「うんまた明日」
幼稚園の頃からしている他愛ない別れの挨拶を交わす。
約束は果たされ無かった。
靴を乱暴に脱ぎ捨て、ベットに倒れ込む、そして読みかけの漫画に手を伸ばしてパラパラ数ページ捲る、そのまま眠気に耐えきれず瞼を落とす。
突然浮遊感と激しい閃光が襲い、気がつくと目の前にはヒゲを蓄えた初老の男性、その周りには中世の鎧のようなものを着た人々ーーーー
「は?」
なんとも情けない第一声だが、それも仕方ない、何せ少し前まで家で漫画を読んでいたと思ったらこれだ。
「ようこそ、ワシはこの国の王、グラント、貴方が召喚に応じてくれた勇者様かね?」
初老の男性が問いかけてきたようだ。
いや、しかし 勇者?召喚?何処のファンタジーだ?疲れすぎて頭でもやっちゃったか?
「どうなされた?勇者様よ」
「あ、あの〜一体全体状況が飲み込めないんですが」
丁寧な言葉を慎重に選び説明を求める。
「おお、そうかそうだったか、済まないな召喚に成功したものでつい浮かれて居て説明を忘れていたぞ、では」
コホン、と咳払いをし、語り始めた。
「実はな、ここ、いや、勇者様からしたら『この世界』と言った方がいいな、この世界に魔王が産まれた、魔王は400年に1度人々の中の嫉妬、悲しみ、怒り等の負の感情を触媒に産まれてしまう、それを止めるため、もしくは魔王を倒すために我が国は異世界から勇者を召喚した、それに応じて下さったのが勇者様じゃ、どうかな?分かってくれたかの?」
全然分からん、なにこれ
これ夢じゃね?
寝落ちした感覚あったからな、正直夢だろう、夢だと思いたい。
試しに自分の顔を引っぱたいてみる
パチィン!なかなかの大きさの音
クソ痛てぇんだけどマジなの?マジなの?
「ど、どうしたんじゃ勇者様」
「い、いやぁ何でもないです」
初対面でヤバイ人認識されたかも知れない、そうなると哀れみの目で…怖い怖い
気を取り直し気になっていたことを初老の男性…以下王様に聞いてみる。
「まず聞きたいこと、マジで異世界?」
「はい、そうですじゃ」
もう受け入れるしかなさそうですねぇ……
「次に、なんで俺が召喚されたの?」
「導きの精霊が適正者を連れてくる、と言われておりますじゃ」
その後もいくつか質問を続け至った結論は、諦めて勇者業するしか無さそうだ。
「勇者様よ、肝心なことを2点ばかり忘れておった、まず名前を聞かせてくれるか?」
「谷村一真、大学生だ」
ちなみに付け足すなら彼女なしだ
「おお、谷村と申すか、では谷村殿この世界で重要になる事、ステータスについてお教えしましょう」
ステータス…異世界なのにゲームみたいだなぁ
「まずステータスと呟いて下されば、自分のステータスが見えます」
それに従いステータスと呟いてみる、すると目の前に空中に浮いたような感じで、文字が浮かび上がってきた。確認してみる
名前 谷村一真
ステータス
レベル1
ステータス
筋力10
耐久4
敏捷15
魔力20
装備可能武器 杖 短剣
装備可能防具 ローブ系 衣服系
魔法適性
火炎魔法×
水撃魔法×
雷撃魔法×
風撃魔法×
土砂魔法×
回復魔法×
強化魔法○
スキル
魔法効果上昇Lv1
えっと……?
魔法使いみたいなステータスで、攻撃魔法が使えない?
「ふっざけんなよ!!!!」
大声で叫んでしまった、逆にこのステータスを見て自制が効く奴がおかしい 、別に低い性能って感じじゃ無さそうだ、だが装備可能武器の割にステータス配分、習得呪文が意味わからん。
レベルを上げて物理で殴れと?こんな紙耐久でどう近づいて攻撃すんだよ……
「谷村殿どうかしましたかな?装備可能な物を教えてくださいましたら、すぐ持ってこさせますが?」
「あ、あぁ、それじゃ、動きやすそうなローブと丈夫そうな杖くれない?」
ハァァァァァ、これが前途多難って奴か?くそぅ、変なステータスにしやがってくそぅ、導きの精霊とやらを恨むぞ!
そんな暗いことをブツブツ呟いているといつの間にか装備が整っていたらしい 召使い?から受取り着てみる、うん、フィットしてる
「魔王の居場所は掴めておりません、400年毎に場所が変わるのです。ただ分かって居るのは魔王が滞在している場所付近は霧が濃いこと、魔王が生誕した場所には黒い結晶の塊があること、このくらいしか分からず申し訳ない、谷村殿には、情報を集めながら魔王を捜索打破して欲しいのです。それではご武運を」
斯くして俺の魔王打破への旅が始まったのである。
先行き不安ですけどね!!!!
初めまして稚拙な文ですが、頑張って行きます。
ちょっとだけ召喚前の描写追加、とフラグ建築、ちょこちょこっと修正