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【魔物が神聖視】されている世界に転生したら、ワタシは戦闘狂に目覚めました〜生贄から始まる狂戦士無双〜  作者: 冬哉


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5.ウィリアム

「あなたは?」


「ウィリアム。王国騎士団の元第二隊長だ」


 ワタシは、椅子に縛り付けられた空色の髪の青年を見定めるように目を細める。青年──ウィリアムはおそらく二十歳くらいで、白を基調とした軍服を纏っていた。そんな彼の金色の瞳からは、強者の覇気がにじみ出ていた。


「確かにあなたは強そうですね」


「……ん? サクラ! おめぇ何やってんだ。さっさと来ないと置いてくよ!」


 遠くから響くライラの声。ワタシはそれを手で制し、牢屋に歩み寄る。そして──。


 スパッ……。


 看守から拝借した剣で牢の南京錠を斬り、ウィリアムの前に立った。


 裏切られるかもしれない……だけど、そうなってくれたらこの人とも戦える理由ができる!


 嘘偽りのない微笑みをたたえて、ワタシはウィリアムを縛る縄を断ち切った。


「……いいのか?」


「いいですよ。強い人は大歓迎です!」


 そう言ってワタシが差し伸べた手に、ウィリアムの冷たい手が触れた。


「ワタシはサクラ。よろしくお願いしますね」


「ああ。よろしく頼む」


***


「おいサクラ。そいつぁ誰だ?」


 ワタシがロクとライラに追いつくと、二人はライラの杖を探して倉庫を漁っていた。


「この人はウィリアムさん。強そうだったから連れてきました」


「おっ! あったあった。やっぱりこれがあると落ち着くねぇ」


 倉庫の隅で、ライラは足の悪い老人が使っていそうな木の杖を手の中で転がす。


「おいライラの婆さん。サクラの野郎が知らねぇやつひっかけてきやがったんだがどうするよ?」


 ロクはすぐに彼女のそばに行き意見を求めた。するとライラは左手で杖を突き、紫紺の瞳を細める。


「……おっ? こいつはいいねぇ。スキルもなかなかだ」


 黙ったままのウィリアムと、ライラの視線が交わる。


「だがサクラ。その小僧が裏切ったら、おめぇはどう責任を取るつもりだい?」


「その時はワタシが相手しますよ。もしそうなったら、邪魔しないでくださいね?」


 即答したワタシを見て、ライラが乾いた笑い声を上げた。


「ヒッヒッヒ! おまえさんはそういう女だったねぇ」


「ウィリアムさんのことはもういいでしょう? 早くヒュドラって魔物のところに行きましょうよ!」


 ワタシは弾んだ足取りで倉庫の出入り口に向かいながら三人に声を投げた。


「はしゃぐなクソガキ。これは遊びじゃねぇんだぞ! もっと真剣に──」


 その時、ワタシが倉庫の出入り口をくぐった瞬間。扉の陰から振り下ろされたのは、看守の剣。


「サクラッ!」


 ロクの焦った声が響く。


 ロクさんって意外と優しいのかな? 出会ったばかりのワタシを本気で心配するなんて。


 このくらい大丈夫だと、ワタシはロクに微笑み返す。ワタシはとっくに扉の陰に敵が潜んでいることに気付いていたのだ。


 クルッと身体を一回転。たったそれだけで、振り下ろされる刃を回避するには十分だった。


 後は回転の勢いを乗せて放った蹴りで隠れていた看守の首を刈り取る。それで勝負は着いた。


「大丈夫ですよ。油断はしませんから」


「ケッ……心配させんじゃねぇよ」


 ボソッと呟いたロクの言葉に、ライラはすぐさま茶々を入れる。


「おめぇはやっぱり優しいねぇ」


「う、うるせぇババア! オレ様があんな生意気なガキを心配するわけねぇだろ!」


「ババア……だって?」


 ライラがキレる予兆に、ワタシはすぐさま言葉を挟む。


「ライラさん! 怒るのは後にして進みましょうよ。ワタシは早く戦いたいんですっ!」


 ワタシの言葉に動きを止めるライラ。彼女の怒りが爆発することを恐れて後退るロク。ワタシたち三人の様子を無言で見つめていたウィリアムは、いつの間にか裏地が赤色の白い騎士用マントを身に着けていた。


「チッ……ったく、後で覚えとけよ若造」


 ライラの舌打ちを合図に、ワタシたちは脱獄を再開した。


***


「ぐはっ……!」


 ロクの突進力を頼りに通路を進むことしばらく。ようやく周囲の光景に変化が訪れる。


「あの扉……出口だ! あそこから建物の外に出られるぜ」


「ああそうさ。そしてあの扉の先にヒュドラがいるはずだよ!」


 魔術で飛行するライラが杖の先を扉に向けた途端、大質量の水が出現し、濁流を形成する。


 ザッバアァァァン!


 濁流は、黒い金属で作られた頑丈そうな大扉をいとも容易く突き破り、勢いよく建物の外へと吹き出した。


「外だ……ってことは……」


 誰よりも早く果ての監獄から出たロクが周囲を見回す。そして彼は右を向いた瞬間、目を見張った。ワタシも続いて外に出て右を向く。


 曇天の空の下。霞がかった地上にいたのは、一枚一枚が重騎士の盾のように大きい真っ赤なウロコがびっしりと生えた、竜の頭を十二本も持った怪物だった。その一本一本が百メートルをゆうに超える長さを誇り、十二の口からは呼吸をするたびに火の粉が舞っていた。


 これ、絶対楽しいやつじゃん!


 ヒュドラの姿を見た途端、ワタシは口元を歪ませ、瞳には狂戦士の証である真紅の光を灯した。その横で、ロクもまた拳を打ち合わせ闘志を燃やす。


「出やがったかヒュドラさんよぉ……リベンジと行こうじゃねぇか!」

この話を読んでいただきありがとうございます!


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